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最も危険なアメリカ映画 [著]町山智浩

[評者]末國善己(文芸評論家)

[掲載]2016年12月18日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 人種差別を煽(あお)り、白人労働者階級の心をくすぐる過激な言動で物議を醸したトランプが、アメリカ次期大統領に選ばれた。だが著者は、トランプに熱狂した不寛容で、反知性主義的なアメリカは、既に多くの映画で描かれてきたという。
 著者は、白人至上主義の秘密結社KKKを賛美した「國民の創生」や大衆迎合の危険を指摘する「群衆」など、アメリカ映画の表看板である自由、平等、博愛とは真逆の作品を紹介。この系譜は今も続いているとする。特に1985年公開の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主人公がタイムマシンで50年代に行くのは、そこが米国の栄光の時代で、公開時のレーガン政権が進めた保守的な価値観の復活と軌を一にしていたとの分析は驚かされた。
 映画の政治性を読み解く本書に違和感を持つ映画好きもいるだろうが、アメリカを深く知り、日本映画に隠された政治性に気づかせてくれる意味でも示唆に富んでいるのは確かである。

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