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大竹昭子 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)屋根裏の仏さま(ジュリー・オオツカ著、岩本正恵・小竹由美子訳、新潮社・1836円)
(2)旅行記 前編・後編(佐藤貢著、iTohen Press・各1080円)
(3)どうぶつのことば 根源的暴力をこえて(鴻池朋子著、羽鳥書店・3672円)
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 (1)写真結婚した日系1世の体験を「わたしたち」と一人称複数で語る。個人史に他者の声を織り込み、普遍化する。拾い集めた言葉をこんなふうに作品化できるのだ。(2)は人生でめったに出会えない本。自分を超えたものの力に動かされ、翻弄(ほんろう)されつつ旅する。重い内容を淡々と語る、風のような筆致に引き込まれた。美術家である著者の原点であり、書くことの切実さに圧倒される。購入はiTohen(http://www.skky.info)、電話06・6292・2812。(3)ジャンルの境界を踏み超えたとき、道が大きく開ける。東日本大震災以降、それを実践してきた美術家による学びの書。他ジャンルとの対話も、単なる知識獲得ではなく、本人にとって切迫感があるゆえに言葉に力がこもっていた。
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 大震災以降、写真家の畠山直哉さんと積み重ねてきた対話が本になりました。『出来事と写真』(赤々舎)



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