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五十嵐太郎 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)ゲンロン4 現代日本の批評3(東浩紀編、ゲンロン・2592円)
(2)建築の前夜 前川國男論(松隈洋著、みすず書房・5832円)
(3)反覆 新興芸術の位相(彦坂尚嘉著、アルファベータブックス・3780円)
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 とりあげる機会を逃した3冊。(1)『ゲンロン4』は、浅田彰へのロングインタビューや鼎談(ていだん)を通じて批評と社会をめぐる状況の変化を整理する。東浩紀は日本の特殊な状況を確認しつつ、批評の観客をとり戻すことや活動の継続性を通じて、未来へとつなごうとする。
 一貫してモダニズムの研究と保存運動に関わった建築史家の松隈は、ル・コルビュジエの国立西洋美術館が世界遺産に登録された今年、それを祝福するかのように、みすず書房と六耀社から2冊ずつ刊行した。とくに前川國男論は頭が下がるような労作(2)。
 彦坂は美術家であると同時に、歴史意識に基づく批評をネット時代にも粘り強く持続する。1974年の著作の復刻増補版(3)は、資料的価値に加え、現在の思考を示す。
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 震災前からの企画『日本建築入門』(ちくま新書)をようやく刊行。その間に「日本」の状況も変化した


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