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佐倉統 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)描かれた病(リチャード・バーネット著、中里京子訳、河出書房新社・4104円)
(2)ホワット・イズ・ディス?(ランドール・マンロー著、吉田三知世訳、早川書房・3456円)
(3)ヘンリー・ソロー 野生の学舎(今福龍太著、みすず書房・4104円)
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 書評できなかった本から。(1)は、さまざまな病態を描いたリアルな図版を多数集めて俯瞰(ふかん)した問題作。超グロテスクだが、図で表現するという行為は、それだけ衝撃的なのだ。「見た目」が病気や病人のイメージを固定化するのに果たした役割は大きい。
 同じ図版集でも、さまざまな物の分解・解説図を集めた(2)は、脱力系科学コミュニケーターの語り口が、ほのぼのとしていて楽しい。子供の頃、折り込み広告の裏にこんな絵をよく描いていたなあ。懐かしい。
 (3)は、瑞々(みずみず)しい感性をもつ人類学者が、視覚だけでなく五感をフル回転させた、ソローの自然遍歴追体験。19世紀アメリカの、美しくも素朴なその姿。ぼくたちはそのようなアメリカを再び見ることができるのだろうか。
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 同僚と企画編集している独立系同人学術誌『5(ファイブ)』の第6号〈アンスロポセン特集〉を12月に発行。テレビでは「真田丸」にはまったのでロスが怖い

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