書評・最新書評

市田隆 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)ヒトラーの娘たち(ウェンディ・ロワー著、武井彩佳監訳、石川ミカ訳、明石書店・3456円)
(2)プルートピア 原子力村が生みだす悲劇の連鎖(ケイト・ブラウン著、高山祥子訳、講談社・3240円)
(3)ジョイランド(スティーヴン・キング著、土屋晃訳、文春文庫・929円)
    ◇
 (1)は、背景や職業が異なるドイツ人女性たちが、ナチスの大量虐殺にいかに関わったかを詳細に調べたノンフィクション。東部占領地域に夫らとともに赴いた主婦が、逃走してきたユダヤ人の子供6人を射殺する場面には言葉を失った。
 (2)は、冷戦時代の米ソで、核兵器用のプルトニウム製造工場が極秘に設置された二つの街の歴史を対比させ、住民らに取材した記録。大量製造のため「周囲の環境を自由に気前よく、悲惨に汚染していった」ことなど共通点が多い。国家が放射能被害者に鈍感であることがよくわかる。
 (3)は、海辺の遊園地ジョイランドで過去に起きた殺人事件の謎解きを基軸に、青春時代の苦い思い出を振り返る物語で、キングらしい情感があふれている。
    ◇
 震災後の東北の実態を調べる取材を続けています。書評では、紹介しきれなかった良い本が多く、残念です

関連記事

ページトップへ戻る