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立野純二 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)トランプ(ワシントン・ポスト取材班ほか著、野中香方子ほか訳、文芸春秋・2268円)
(2)沖縄は未来をどう生きるか(大田昌秀・佐藤優著、岩波書店・1836円)
(3)戦地からのラブレター(ジャン=ピエール・ゲノ編著、永田千奈訳、亜紀書房・2 052円)
    ◇
 世界の良識と安定を支えていた積み木細工が崩れていく。そんな1年だった。
 敵を定め、「壁」を求めるトランプ氏とは誰か。改めて系脈を顧みたい。(1)は米ワシントン・ポスト紙の渾身(こんしん)作。共和党候補に勝ち残るまでの詳細をたどる。
 グローバル化が私たちの権利を奪った。そんな欧米の叫びが世界にこだます。だが、同じく自己決定権を奪われて久しい沖縄の声は国内にすら響かない。
 明治から変わらぬ差別をどう考えるべきか。(2)は、大田元知事と沖縄にルーツをもつ佐藤氏の対談。
 今の世界秩序の源流である第1次大戦から100年。フランス兵たちが戦場でつづった手紙集(3)は、変わらぬ戦争の愚かさを伝える。いつの世も、敵も味方もまったく同じ人間なのに。
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 今年も東京・築地の空を日々眺めながら日本と世界を考えました。地元の市場も、国際秩序も、先行きが見えぬ年越しです


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