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細野晴臣 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)武満徹・音楽創造への旅(立花隆著、文芸春秋・4320円)
(2)ポール・マッカートニー 告白(ポール・デュ・ノイヤー著、奥田祐士訳、DU BOOKS・3240円)
(3)相倉久人にきく昭和歌謡史(相倉久人著、松村洋編著、アルテスパブリッシング・2160円)
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 職業柄、今年は比較的音楽家の評伝をとりあげた。評伝というものは、ともかくどれも分厚い。昨年のブーランジェの評伝と同様、僕はその人の一生を読破する覚悟で臨んだ。ひときわ個性的な音楽家への興味が読書を牽引(けんいん)してくれる。
 とりわけ今年の吉田秀和賞を受賞した(1)は読み応え十分な大著。書評することがはばかられるほど内容が濃く、書評の難しさを痛感したものだ。その点、分厚いが読みやすかったのは(2)だった。やはり“ポップカルチャーの御曹司”のお喋(しゃべ)りは自分に最も近しく、僕自身もこういう話をするだろう、と感情移入して読めた。(3)は亡き著者の“履歴書”ともいえ、最近ではあまりお目にかかれない音楽への鋭い視点が勉強にもなり、自分の至らなさを思い知った次第。
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 1年の早さを思う季節。ライブツアーが多かった今年、ディランのノーベル賞に音楽と文学の関係を考えさせられた

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