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諸富徹 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)限界費用ゼロ社会(ジェレミー・リフキン著、柴田裕之訳、NHK出版・2592円)
(2)時間かせぎの資本主義(ヴォルフガング・シュトレーク著、鈴木直訳、みすず書房・4536円)
(3)マイナス金利政策(岩田一政・左三川郁子・日本経済研究センター編著、日本経済新聞出版社・3024円)
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 今年は「モノのインターネット(IoT)」や「人工知能」などの言葉が一挙に市民権を得た。(1)(昨年10月出版)は、これらを私的所有経済から共有経済への移行過程に位置づけ、来たる社会変化を予言する。(2)は、各国中央銀行の量的緩和政策が、資本主義の危機への根本解決ではなく問題の先送りに過ぎないと喝破。金融破綻(はたん)のコストは国民に押しつけ、金融資本は救済する先進国経済において、国家が債務と抱き合いながら生きていく実像を炙(あぶ)り出す。(3)は、量的緩和政策がもたらす日銀の財務毀損(きそん)リスクへの鋭い警告。日銀自身がショックを吸収できなければ、国民負担となる。量的金融政策の成否にかかわらず、我々は巨大な国家債務残高と日銀の財務リスクという現実に向き合わざるをえない。
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 3月末にアメリカより帰国し、バタバタと過ごしているうちに過ぎた1年。来年は著作を順次出していきたい

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