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武田徹 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

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(1)「共生」の都市社会学 下北沢再開発問題のなかで考える(三浦倫平著、新曜社・5616円)
(2)樺太を訪れた歌人たち(松村正直著、ながらみ書房・2700円)
(3)全裸監督 村西とおる伝(本橋信宏著、太田出版・2592円)
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 (1)かたや高度利用の実現を求め、かたや昔ながらの町並みにこだわる。「変えろ」と「変えるな」がガチにぶつかり膠着(こうちゃく)しがちな都市再開発問題。サブカル都市「下北沢」を事例に住む者だけでなく、文化享受者をもアクターとみなし、それぞれの権益を調整する視点を導入。二項対立からの脱却の糸口を探る。(2)歌人の著者が往年の歌人たちの足跡を辿(たど)った。歌に結晶していた「日本帝国北限の領土」の記憶と記録が時を跨(また)いで蘇(よみがえ)る感覚が鮮やか。(3)英語教材セールス日本一からAV監督へ。前科7犯、米国では懲役370年を求刑される。50億円の借金をかかえながら息子を最難関小学校に合格させて注目を集め……。反骨ぶりから情の厚さまで全てが過剰な男の「ナイスな」本格的評伝。
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 ポスト真実の時代に見合うポストノンフィクションの可能性を考えている。自分で実作できればいいのだけれど

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