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横尾忠則 書評委員が選んだ「2016年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2016年12月25日

表紙画像

(1)「病は気から」を科学する(ジョー・マーチャント著、服部由美訳、講談社・3240円)
(2)ピカソになりきった男(ギィ・リブ著、鳥取絹子訳、キノブックス・1728円)
(3)ルシアン・フロイドとの朝食(ジョーディ・グレッグ著、小山太一ほか訳、みすず書房・5940円)
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 (1)「病は気から」は迷信でもなんでもない、本当に何度も実感している。心の持ち方が病を招く、そんな経験は誰にもあるはず。そこに科学がメスを入れるという。病気が治ると信じるその想(おも)いに、すでに治癒力の作用がある。だったら自然治癒にまかせれば薬は必要ないということになるが、その効果も、薬が投与されたと知らなければ効果がないということだ。執着から離れることと執着することの両方に治癒力があるという、実におかしな話だ。(2)贋作(がんさく)それ自体は別に悪いことではない。ただし作品を売らなきゃネ。また署名をすれば合法でOK。実に魅力的だ。引用、剽窃(ひょうせつ)でもOK。(3)画家ルシアンの人生の価値は創造のプロセス同様、不完全性にある。だから不完全人間の魅力に惹(ひ)かれる。
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 元旦は骨折入院から始まった。どこにも行けなかったが個展が代わってポーランド、ロシア、スイスに行ってくれた。

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