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ふわとろ―SIZZLE WORD 「おいしい」言葉の使い方 [編]B・M・FTことばラボ

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2017年01月08日

[ジャンル]人文

表紙画像

 食べ物の味を言葉で表すのは、とても難しい。その食べ物を食べたことのない人に、はたして言葉だけで美味(おい)しさや特徴を伝えることができるのだろうか。
 この本は、そういった味覚の言語表現について、いろいろな角度から迫った試行錯誤のショーウィンドーだ。日々料理や食品に携わっている人たちや、味覚に関する語彙(ごい)について研究している言語学者、食べ物のおいしさを写真で表現しようと工夫してきた人たちの、悪戦苦闘ぶりが収められている。内容は玉石混交だが、それがかえって、この問題は一筋縄ではいかないのだということを思い知らせてくれる。いいかえると、これからの研究や実践のタネがたくさん詰まっている宝の山である。
 ただ、「シズル感」を「美味しそうな雰囲気全般」の意味で使うのはやめた方がよい。原語の“sizzle”は、ベーコンなどが焼ける「じゅうじゅう」という音のことである。英語が母語の人には笑われるだろう。

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