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わたしはこうして執事になった [著]ロジーナ・ハリソン

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)

[掲載]2017年01月29日

[ジャンル]歴史 文芸

表紙画像

 英国女性初の国会議員アスター子爵夫人に35年仕えた著者が、自らの回顧録につづき、アスター一族に仕えた男性奉公人五人の話を聞き、まとめた。カズオ・イシグロ『日の名残り』の執事のモデルといわれる人も登場する。お屋敷の舞台裏に、興味津々。
 みなさんつましい労働者の家に生まれ、最初は下働きから始めて仕事を覚え、勤め先を変え、昇進する。一人の主人のために数十名が働くことも。庭師にメイド、銀器磨き、馬係と自動車係(仲が悪い)。狐(きつね)狩り衣装の泥落としに何時間も費やす。やれやれ。20世紀末、こんな暮らしが急速に過去のものになっていったのも無理はない。
 千人規模のレセプションや女王臨席の晩餐(ばんさん)会では、他家の奉公人も助っ人に呼ばれる。お屋敷奉公人には横のつながりがあるのだ。数多くの邸宅で働き、最高級の美術や食文化、時には政治機密も知る。英国上流階級って彼らが演出し、ご主人が演じる舞台なのね。

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