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GUTAI 周縁からの挑戦 [著]ミン・ティアンポ

[評者]

[掲載]2017年02月05日

[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

表紙画像

 足で絵の具を伸ばして描いたり、多数の電球で作った服を光らせて着たり。関西を拠点にした前衛美術集団・具体美術協会(1954~72年)は、奇抜さや面白さが強調されがちだ。
 本書は中国系カナダ人研究者の著作の翻訳版だが、通常とはかなり違う国際的な視点に貫かれている。その筆は常に直球勝負で、冒頭から「具体の歴史をトランスナショナルに考える試みである」と宣言する。
 著者は関西に2年ほど留学。膨大な資料を読み解く一方、具体の作家たちにも話を聞いている。その蓄積から、具体が欧米で西洋の模倣や異国趣味として語られた力学をぐいぐい明かしてゆく。そして欧米や東京から見れば周縁にいた具体が「美術界の脱中心化に貢献した」と位置づける。
 彼女が指摘する、欧州が日本から借用するとインスピレーションなのに、日本が欧州から借用すると模倣といわれるという非対称性は、今後も美術史で議論されてゆくに違いない。
    ◇
評者=大西若人(本社編集委員)

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