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地方自治と図書館―「知の地域づくり」を地域再生の切り札に [著]片山善博・糸賀雅児

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)

[掲載]2017年02月26日

[ジャンル]社会

表紙画像

 「知識社会」時代における図書館の意義を、改めて考えさせる良書。片山は鳥取県知事時代に県庁内に図書室を創設し、優秀な司書の助けで内外の政策情報を効果的に集め、政策判断に生かせたという。だが多くの自治体では、議員も自治体職員も、図書館で政策情報を集めたり、自ら研究して議会質問や政策立案に生かしたりする慣習が育っていない。政策の妥当性を住民の立場に立って判断するには、中央政府の情報だけでなく、対抗軸としての図書館を活用し、自ら研究して判断を下せる情報環境を整えるべきだという。
 図書館の重要性は市民にとっても同様だ。「本の貸し出し/読書の場」としての図書館から、「課題解決型」図書館へ向けて市民の知的活動を刺激し、彼らの自立支援となるサービスや活動を活発化させるには、司書の地位/力量の向上が鍵となる。近年、図書館運営の民間委託が脚光を浴びるが、それとは一線を画す直球勝負の図書館論が新鮮だ。

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