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松居直と絵本づくり [著]藤本朝巳

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)

[掲載]2017年03月26日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 昨年創刊60周年を迎えた月刊絵本「こどものとも」(福音館書店)は名作を送り出してきた。茂田井武(もたいたけし)画の『セロひきのゴーシュ』や瀬田貞二訳『三びきのやぎのがらがらどん』、赤羽末吉画の『かさじぞう』、なかがわりえこ・おおむらゆりこの『ぐりとぐら』、加古里子(さとし)の『だるまちゃんとてんぐちゃん』など、いまも大切にされている。
 本書は「こどものとも」を創刊した編集者・松居直(ただし)の仕事を多角的に紹介する好著。「なぜ子どもが事実ではない世界に入っていって真実を感じ、そして、もう飽きることなく繰り返し繰り返し読むのかということを皆さんもご自身で考えてみていただきたいのです」という松居直の言葉は、大人の読書も照らす。絵を「見る」のではなく「読む」ものと捉える発言には経験に基づく発見がある。世代を問わず楽しめる『万里の長城』についてのインタビューも愉快だ。松居直の情熱を伝える藤本朝巳(ともみ)の思いの深さも伝わる。

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