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科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体 [著]瀬川至朗

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2017年04月02日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

 科学ジャーナリズムは、複雑化する科学技術を一般に分かりやすく伝える重要な社会的役割を担っている。しかし、専門家からは不正確と批判され、一般社会からは難解と敬遠され、あまり評判がよろしくない。
 なぜそうなるのか? どうすればいいのか?「毎日新聞」の科学記者を長く務め、現在は早稲田大学でジャーナリズム・プログラムを率いる著者が、自身の経験と広い視野と学術成果を総動員してこれらの問いに答えた好著である。
 客観報道とは報道の結果の公平性ではなく、調査の過程における客観性を重視する姿勢のことであるという主張は納得がいく。
 また、ジャーナリストの目線が市民や社会に向かず、他の同業者や取材対象ばかり意識しているとの批判も迫力がある。その結果、閉鎖的な「マスメディア共同体」ができあがり、科学ジャーナリズムが硬直化してしまう。ここを改めるべしという指摘は、以(もっ)て他山の石としたい。

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