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あま世へ-沖縄戦後史の自立にむけて [編]森宣雄、冨山一郎、戸邉秀明

[評者]齋藤純一(早大教授)

[掲載]2017年04月30日

[ジャンル]政治 社会

表紙画像

 執筆者のひとり鹿野政直氏によれば、近代の沖縄は「最後尾の県」(戦前・戦中)、「捨て石」(沖縄戦)、「太平洋の要石」(米軍占領下から復帰を経て現在に至る)と特徴づけられる立場にたたされてきた。
 沖縄が強いられてきたのは、制御できない外部の意思によって制御されつづけてきた「にが世(ゆー)」の経験である。この「されて」からの脱却への志向が書名にはこめられている。
 本書は、「島ぐるみ闘争」に関与し、薩摩藩による支配に「にが世」の始まりを見る『沖縄の歩み』を著した国場幸太郎の思想を導きの糸として編まれている。沖縄の思想・歴史を囲い込むのでもなく、日本のそれに回収するのでもない、新たなとらえ直しが探られる。
 この間沖縄は「されて」に抗する政治的意思を繰り返し示してきたが、なおも真剣には受けとめられていない。「沖縄にとって日本は何なのか」。この問いにどう答えられるだろうか。

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