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ハナモゲラ和歌の誘惑 [著]笹公人

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)

[掲載]2017年06月04日

[ジャンル]人文

表紙画像

 「ひいらぎの かほりやまめて せせらぎる どぜうてふてふ くましかこりす」(山下洋輔)。お題は「山の美しさに感動して詠める」。今日に残るハナモゲラ和歌の秀歌である。
 「みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれ……」(大橋巨泉)なるCM短歌の流れをくみ、1970年代から80年代にかけて流行したハナモゲラ語の一ジャンルとして、それは(局所的に)開花した。鑑賞の極意は韻律の音楽性のみを味わうこと。音だけでも和歌に聞こえるこの不思議。だが著者はそこにこそ大和言葉の奥義と短歌の原点があるとおっしゃるのだ。
 「さなだむし じるつゆのおり こきかじり みがほろとばる あじめどあくさ」(渡辺香津美)。こちらのお題は「大変にきたないさまを詠める」。
 若き日のタモリのオールナイトニッポンに熱狂した頃を思い出した。ししみめに、ひるれきをみの、くまれいづな方ならば、必ずやちょちょぎれである。

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