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金融e時代―中国における金融デジタル化の現在と未来 [著]万建華

[評者]加藤出 (東短リサーチチーフエコノミスト)

[掲載]2017年06月18日

[ジャンル]経済

表紙画像

 中国におけるフィンテック(金融IT)の拡大は、北欧と並び世界最速ペースで進んでいる。特にモバイル決済によるキャッシュレス化は驚異的な進展を見せており、日本より遙(はる)かに先に行っている。
 本書の執筆は4年前なのだが、著者の慧眼(けいがん)が随所に現れている。アリババなどのインターネット企業が既存の金融業界を根底から揺るがす破壊力を持っていることが力説されている。
 ビル・ゲイツは1990年代に、「21世紀の民間銀行は恐竜と同じく絶滅に向かう」と語った。現実はそこまで行っていないが、本書は「従来型銀行の支店は恐竜のように衰退」するため、「商業銀行はできるだけ早く何らかの手を打たなければならない」と警告する。
 中国人民銀行出身で、数々の金融関連企業のデジタル化を推進してきた著者の柔軟な議論は、金融業界にとって刺激的なだけでなく、中国経済のダイナミズムも強く感じさせてくれる。

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