書評・最新書評

自民党―「一強」の実像 [著]中北浩爾

[評者]齋藤純一(早大教授)

[掲載]2017年06月18日

[ジャンル]政治

表紙画像

 いま自民党は、「安倍一強」の党内権威主義の傾向が著しく、党内からの異論は聞こえてこない。なぜそうなったかを理解する上でも本書の周到な分析は有益である。
 1994年の政治改革、とりわけ小選挙区制の導入と政治資金規制の強化は、自民党を大きく変えた。派閥の後退、財界などの影響力の低下、公認権・政党助成金の配分権を握る党幹部の権力強化、官邸主導に傾く政策形成などが、その変化として指摘される。
 安倍晋三首相のもとでも自民党の絶対得票率は低迷しており(小選挙区で25%前後、比例代表で15〜20%)、高い内閣支持率を誇る首相もけっして無党派層を惹(ひ)きつけてはいないという指摘は特に重要である。
 安定した地方組織や公明党との連携など他党にはない資源ゆえに、自民党の優位は当面動きそうもない。しかし、票やカネは確実に減少してきており、「一強」とされるこの党も意外に脆弱(ぜいじゃく)であることがわかる。

関連記事

ページトップへ戻る