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通信制高校のすべて―「いつでも、どこでも、だれでも」の学校 [編著]手島純

[評者]野矢茂樹(東大教授)

[掲載]2017年06月25日

[ジャンル]教育 人文 社会

表紙画像

 読もうかどうしようかとパラパラ見ていたら、ある一言に目が留まった。「学校というものは、決められた場所で、決められた時間に、決められた教材を使って、決まった年齢の人が集まるところになっていて、それを私たちは当たり前だと思っているけれど」——ああ、そうか、と思った。
 9人の教師・研究者が、本書において、通信制高校の歴史、現状、そしてそれが開く新しい可能性を語り出す。通信制高校は「いつでも、どこでも、だれでも」学べる教育のあり方をめざしている。いまの学校教育は、けっして当たり前の教育のかたちではない。
 通信制高校の大きな役割は、学校教育に適応できない生徒の受け皿たることにある。だが、それにとどまらずに、学校教育と肩を並べる選択肢となれば、生徒たちも引け目を感じることなく、むしろ自分を肯定的に捉え直していく場になりうるだろう。本書を読んで、すでにその歩みは始まっていると感じた。

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