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牛車で行こう!―平安貴族と乗り物文化 [著]京樂真帆子

[評者]宮田珠己(エッセイスト)

[掲載]2017年08月27日

[ジャンル]歴史

表紙画像

 牛車は、平安貴族の乗り物である。ぎっしゃと読む。
 なぜ牛だったのか。
 乗るなら馬車のほうが速いのでは?と思ってしまうが、本書によれば、牛車は乗り手が一定以上の身分であることを示すもので、それに乗っていること自体が重要だったという。急ぐときは男性ならやはり馬に乗ったようだ。
 牛の車は、今でも物の運搬に使っている国があったり、朝鮮半島では囚人の護送に使っていたそうだが、どういうわけか平安朝では高級車だった。身分によって乗れる車種が異なり、あえてランクの低い車に乗って身を隠したり、同車(同乗)したり貸し借りすることで政治的に利用されたりもしたらしい。
 本書には牛車の車種や利用作法だけでなく、そうした知略や駆け引きについても紹介されていて、当時のありようがよくわかる。
 室町期までにはすっかり廃れてしまったそうだが、言われてみれば奇妙な文化だ。気になる。

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