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ISOTYPE〔アイソタイプ〕 [著]オットー・ノイラート

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2017年09月03日

[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

表紙画像

 著者のオットー・ノイラートは哲学者で、二〇世紀前半に哲学と科学を融合しようとした一大知的運動の中心人物である。その彼が、一方で絵文字(ピクトグラム)を考案し、その必要性を熱く語っていた。それを一冊にまとめたのがこの本。
 なぜ哲学者が、それも彼が絵文字を? そんな疑問から手に取ったのだが、これはノイラートにとっては知の統一運動の一環であり、それを推進するための主力道具(になるはずのもの)だったのだ。言語の壁を越えなければ汎(はん)世界的な知的統一は成し遂げられない。そのためには、ピクトグラムが不可欠である——彼はこう考えていた。
 なんと大それた野望であることか。第一次世界大戦の地獄の後に、こんな無限のユートピアをこの人は実現しようとしていたのか。
 哲学と科学の統一はあえなく頓挫したが、ピクトグラムはしっかりと生き残っている。その意味を、今のこの時代に、もう一度考え直してみたい。

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