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「大学改革」という病―学問の自由・財政基盤・競争主義から検証する [著]山口裕之

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)

[掲載]2017年10月01日

[ジャンル]人文

表紙画像

 2004年の国立大学の法人化で、大学への「トップダウン型ガバナンス」導入が図られた。だが、真理を探究する非営利組織としての大学には不適合だと、著者は批判する。
 他方、大学の研究教育をめぐる状況は悪化している。大学予算はこの間、中規模国立大学5〜10校が消滅するほど削減が行われ、常勤ポストが減って、若手研究者の雇用不安定化が深刻な問題となっている。結果、日本の論文生産数は、世界各国が伸びる中、法人化後の06年ごろより減少に転じてしまっている。
 著者は、「自由に学びたい学生と教師による自治的な組合」として大学が中世に始まったことを想起。学生が批判的思考力を養い、対話による意見構築の技法を学ぶ点にこそ、大学の意義があると説く。改革はトップダウンではなく、教員同士の自主的な取り組みを支援するやり方に転換すべきだと提案。大学改革について、一歩立ち止まって考える上で必読の書だ。

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