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ギガマネー 巨大資金の闇―富の支配者たちを狙え [著]太田康夫

[評者]市田隆(本社編集委員)

[掲載]2017年10月29日

[ジャンル]経済

表紙画像

 プライベートバンキングと呼ばれる富裕層向け金融業務の実態に迫った本書で、富の集中のすさまじさを知った。世界の全資産の半分近くを資産1億円以上の富裕層が占め、米国などで1千億円以上の大金持ちが増加。世界の金融機関が富裕層の資産管理、運用で競争を繰り広げる様を長年の取材蓄積を生かして活写しており、引き込まれた。
 「お金を隠したい」要望が強い富裕層のためにタックスヘイブンを利用する脱税を手助けした金融機関の暗部や、その問題を重視した国際社会の規制強化についても内容が濃く、わかりやすい。著者はモラルなき利益追求をしてきた業界体質を批判。「犯罪幇助(ほうじょ)による、規模拡大はもはや認められない」とし、「より規律を効かした業務運営への転換」を金融ジャーナリストとして提言している。
 この金融業務では「周回遅れ」だった日本の状況にも触れており、富裕層マネーをめぐる全体像を知りたい読者に適した一冊だ。

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