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機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

[評者]円城塔  (作家)

[掲載]2017年11月12日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 気がつくと朝になっていたということがよくおこる、巻を措(お)くあたわざる機龍警察もシリーズ6作目。
 4作目までで主要な登場人物たちの過去を掘り下げてきた本シリーズも、5作目の短編集をはさみ、新展開を迎えている。
 大規模テロと複雑化する世界情勢を背景に、警察組織内部の軋轢(あつれき)や、入り組む人間関係を描く本シリーズはエンターテインメントの要素をありったけたたき込んだ感がある。
 タイトルにもある「機龍」は警察の持つ高性能のロボットで、人間が乗り込む二足歩行機械である。アクションとしてすぐれた描写がなされていても、さすがに警察小説としてロボットはやりすぎなのでは、という意見は根強い。
 いやしかし本作ではついに、その種の「荒唐無稽」さが、急速な技術の進歩に見舞われている世界の根幹にかかわりはじめる。思い返せば、インターネットも、こどもじみた馬鹿げた思いつきだといわれていた時代があった。

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