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円城塔 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム(赤野工作著、石黒正数イラスト、KADOKAWA・1296円)
(2)地下鉄道(コルソン・ホワイトヘッド著、谷崎由依訳、早川書房・2484円)
(3)野菜だし(イチカワヨウスケ著、主婦と生活社・1512円)
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 (1)は、未来の視点からの、過去(といっても現在からはまだ未来)における低評価ゲームのレビュー集。ひとつひとつのレビューも秀逸だが、話がすすむにつれて、語り手の人生とゲームの技術がからまりあっていくさまが圧巻。
 (2)は、奴隷制下のアメリカを「地下鉄道」にのって逃亡する少女の話。様々な賞を受賞しているからといって身構える必要はないが、扱われているテーマは非常に重く苦しい。そうしてこれはおそるべきことに、我々が日常目にしている光景そのものでもある。
 この2冊は、フィクションの語りを通じて、そのままでは扱いかねる現実をより的確に伝え、届けることを可能にしているところが強く印象に残った。
 (3)は、我が家の食生活を一変させた一冊。
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 連載中の「文字渦」第1回で川端康成文学賞を頂きました。単行本は来年でる予定です。

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