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加藤出 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)サザビーズで朝食を(フィリップ・フック著、中山ゆかり訳、フィルムアート社・3240円)
(2)かくて行動経済学は生まれり(マイケル・ルイス著、渡会圭子訳、文芸春秋・1944円)
(3)財政と民主主義(加藤創太・小林慶一郎編著、日本経済新聞出版社・2160円)
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 ダビンチの絵が先日、500億円超で落札されたように、美術市場に巨額の資金が流入している。その知られざる内幕を(1)は軽妙洒脱(しゃだつ)な語り口で描く。競売のグローバル化や所得格差拡大が同市場にも影響を与えてきたことが分かる。
 独創的な2人の天才心理学者、カーネマンとトヴェルスキーの波瀾(はらん)万丈の人生を描いた本が(2)。忖度(そんたく)とは対極の彼らの反骨精神が作った理論はR・セイヤーの行動経済学に受け継がれ、彼の今年のノーベル経済学賞受賞につながっている。
 10月の総選挙では、将来世代に巨額の政府債務を背負わせてよいのか?という問題を正面から議論する政党はなかった。財政上の世代間の責任を考える上で、(3)は極めて貴重な一冊。
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 金融機関向けリポートに余談として書いている「B級グルメ探訪」の反響が大きく、今年は全国のB級店に随分行った。

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