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柄谷行人 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)宣教師ザビエルと被差別民(沖浦和光著、筑摩選書・1620円)
(2)虜囚―一六〇〇〜一八五〇年のイギリス、帝国、そして世界(リンダ・コリー著、中村裕子ほか訳、法政大学出版局・8424円)
(3)殺生と戦争の民俗学―柳田國男と千葉徳爾(大塚英志著、角川選書・2160円)
    ◇
 (1)宣教師ザビエルに関する研究は数多いが、著者のように、日本における被差別民の歴史から見た人はいない。ザビエルはとりわけハンセン病者の救済を考えていた。この時期の日本の仏教では、ハンセン病者は前世の報いで仏の慈悲も及ばないと考えられていた。そこから見ると、彼の言動がいかに衝撃的であったかがわかる。(2)小さな島国のイギリス人がいかにして世界帝国を築きえたのか。その秘密を、輝かしい軍事的・政治的勝利からではなく、海外で虜囚となった多くの惨めなイギリス人の体験記から照明した。(3)柳田国男の弟子であった千葉徳爾は、通常の柳田学派と異なる観点において柳田を受け継いだ。それは文科系というより理科系であり、また農耕民よりも狩猟民に注目するものだ。
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 今年は海外に行くことが多く、書評を書く時間もなかった。年中、時差ボケに苦しんだ感じがする。

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