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齋藤純一 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

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(1)偽装の被爆国―核を捨てられない日本(太田昌克著、岩波書店・1836円)
(2)神と革命―ロシア革命の知られざる真実(下斗米伸夫著、筑摩選書・1944円)
(3)正義・平等・責任―平等主義的正義論の新たなる展開(井上彰著、岩波書店・5184円)
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 本年7月核兵器禁止条約が採択された。日本政府は「唯一の被爆国」としての経験を強調する一方でこの条約への参加を拒み、核の先制使用にも反対していない。(1)は、それがなぜなのかを、脱原発への政府の抵抗にも関係づけて明らかにしている。
 今年は、ロシア革命から100年の年でもあった。(2)は、共産主義イデオロギーのもとで覆われてきたロシア社会の宗教的な要素に光を当てる。ロシア正教の少数派が革命に深く関与した事実など、新鮮な指摘にとむ。
 今年は、正義論や政治哲学の最先端の研究が相次いで出版された。(3)は、平等を最も重要な価値として位置づけながらも、同時に個人の選択責任を問う正義論の構想を大胆に示す。
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 今年は解散・総選挙があり、選挙制度を問い直す必要があると強く感じた。3月に『不平等を考える』(ちくま新書)を上梓(じょうし)。

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