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佐倉統 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)ソール・ライターのすべて(ソール・ライター著、青幻舎・2700円)
(2)そして、ぼくは旅に出た。(大竹英洋著、あすなろ書房・2052円)
(3)天才作曲家 大澤壽人(生島美紀子著、みすず書房・5616円)
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 書評できなかった中から世界の見方を変えてくれる三点を。(1)は、ニューヨークの自宅周辺を撮り続けた写真家の、回顧展の図録を兼ねた作品集。ぼくたちの日常には、こんなにも美しい瞬間や優しい出来事がたくさん潜んでいる。作家の眼差(まなざ)しと写真という媒体が、それを気づかせてくれる。
 一方、写真家を志した東京の青年は夢に現れたオオカミに導かれて北米の最果ての森に旅立ち、自分の世界を編み直していく〈(2)〉。これもまた、写真を媒介とする、日常の再発見。
 (3)は、戦前に国際的な活躍をしながら、その後忘れ去られた作曲家、大澤壽人(おおさわひさと)の浩瀚(こうかん)な伝記。文化思想批評家の片山杜秀らが再発見し、作品の完成度に誰もが驚いた。過去の再評価は、現代を見つめ直すこと。
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 引き続き学環長業務に追われつつ、今年から理化学研究所のAI研究センターを兼務。独立系学際同人誌『5』も元気に継続中。

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