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サンキュータツオ 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか(紀田順一郎著、松籟社・1944円)
(2)ゴッホの耳 天才画家 最大の謎(バーナデット・マーフィー著、山田美明訳、早川書房・2376円)
(3)枕草子のたくらみ(山本淳子著、朝日選書・1620円)
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 人間には知識欲があり、実際それが良い欲なのかどうかも怪しい。が、どうしようもなく、知識欲に突き動かされている業の深い人の書いた文章には惹(ひ)きつけられる。3万冊の蔵書を600冊にまで絞る過程を描いた(1)は、思い出と思い入れに溢(あふ)れる蔵書への執着をさらけ出していて、もっとも気持ちよく、そして切ない一冊で心を動かされた。
 (2)は、美術史家でも学芸員でもない元教員による、大人が本気で知的好奇心をMAX発動させたらどうなるかがわかる本。映画「ゴッホ 最期の手紙」と併せて堪能されたい。
 (3)は長年紫式部研究を続けてきた著者による枕草子研究。研究には不可欠な逞(たくま)しい想像が真実に近づいたときこそ、読者としてはもっとも興奮する時である。
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 立川談志師匠が亡くなって6年、次の『広辞苑』に入る人名だそうだ。時間がたった。私は今年よく寄席に出た。

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