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末國善己 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)夢をのみ 日本SFの金字塔・光瀬龍(立川ゆかり著、ツーワンライフ・2160円)
(2)白村江(荒山徹著、PHP研究所・2052円)
(3)虎の牙(武川佑著、講談社・1944円)
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 (1)は、日記や書簡など膨大な資料を駆使し、SF作家・光瀬龍の実像に迫った力作評伝である。戦後の世相と作品の接点、歴史小説も手掛けた光瀬の歴史観、新事実を使った作品の読み替えなども興味深く、特に『百億の昼と千億の夜』の解釈には圧倒された。
 朝鮮半島有事を背景に、日本を戦争ができる国にする計画が進む。これは現代の話ではなく、(2)が描く白村江の戦い前夜の状況である。それだけに、本書を読むと歴史から何を学ぶべきかを考えてしまうだろう。
 新人の初長編とは思えない完成度の(3)は、史実と伝奇的趣向を融合させ、独自性の高い戦国時代を描いている。登場人物の魅力、リアルな合戦シーン、推理小説的な仕掛けのどれを取っても一級で、今後の活躍が楽しみだ。
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 今年は、『花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選』と『文豪エロティカル』の2冊の作品集を編纂(へんさん)しました。

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