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野矢茂樹 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)中動態の世界 意志と責任の考古学(國分功一郎著、医学書院・2160円)
(2)湯殿山の哲学 修験と花と存在と(山内志朗著、ぷねうま舎・2700円)
(3)無くならない アートとデザインの間(佐藤直樹著、晶文社・2700円)
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 鷲田清一さんが私の仕事を、「中動相」という言葉を使って紹介してくださったことがある。私はそのとき中動相(中動態)ということをちゃんと理解していなかった。だけど、それと知らず私は中動態の世界に踏み込んでいたらしい。だから、(1)に強く反応したんだな。能動でもなく受動でもない、(2)と(3)はまさにそんな中動態の世界が示されている。(2)では、山内さんが彼の故郷湯殿山を語るのでも、語らされるのでもなく、山内さんのもとに湯殿山の語りが立ち現われてくる。(3)は、本よりもその頃開かれていた佐藤さんの個展に圧倒された。ここにも、描くのでも描かされるのでもない世界が、いつ果てることもなく出現している。この三冊は、いわば本の方が私を呼び寄せたのだろう。
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 『大人のための国語ゼミ』という本を出しました。こんな国語の教科書があればいいという願いをこめた本です。

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