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保阪正康 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実(牧久著、講談社・2700円)
(2)ヒトラーの裁判官フライスラー(ヘルムート・オルトナー著、須藤正美訳、白水社・3672円)
(3)軍法会議のない「軍隊」 自衛隊に軍法会議は不要か(霞信彦著、慶応義塾大学出版会・1944円)
    ◇
 もともと厚い本を読むのが好きだった。今年も何冊か読んだが、全体に満足できる本は少なかった。しかし目についた本もあった。
 (1)は国鉄解体をさまざまな立場の人たちから取材してまとめた書。なぜタイトルが昭和なのかは、具体的な指摘があり読み進むうちに納得できる。著者の執筆にかけるエネルギーに、「使命感をもって書かれた歴史書」との印象をもった。
 (2)はナチス時代の司法がどのように変質していったか、人民法廷で死刑判決を次々とくだした長官のその内実を丹念に書きつくしている。司法が政治に隷属したときの怖さはいつの時代にも教訓となる。
 (3)は今もっとも読まれるべき書と思う。軍法規の知識もなしに憲法改正論議を進めるのは笑止のことだ。
    ◇
 時々刻々老いが迫る。書きたいこと、読みたい本多々あり。予定の半分しか消化できず、書き下ろしはすべて来年回しに。

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