書評・最新書評

宮田珠己 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)動物奇譚集1・2(アイリアノス著、中務哲郎訳、京都大学学術出版会・1は4428円、2は4212円)
(2)ハイン 地の果ての祭典(アン・チャップマン著、大川豪司訳、新評論・3240円)
(3)〈アゼルバイジャン人〉の創出(塩野崎信也著、京都大学学術出版会・5400円)
    ◇
 書評した以外の本から。(1)は驚異に満ちた動物の世界が想像力豊かに描かれた古代ローマ時代の博物誌。幾許(いくばく)かの真実とたくさんのデタラメが、めくるめく夢のよう。手元に置いてただただ読みふけりたい。(2)絶滅した民族の奇怪な祭典の記録。写真に度肝を抜かれ、読んでさらに意表を突かれた。それは女が怖い男たちによる抵抗の祭りだった。女を怖がらせ威厳を保とうと必死な男たち。文化の多様性の喪失を嘆きつつも、思わず笑ってしまった。(3)アゼルバイジャン建国に際し、知識人たちによってアゼルバイジャン人という民族が創出され、それがやがてナショナリズムを生み、イラン領土の一部は歴史上自分たちのものと主張し始める。民族の伝統なんてそんなものかも。
    ◇
 水族館の無脊椎(むせきつい)生物巡りと47都道府県の旅とスペクタクルな散歩に明け暮れた1年。その3冊を来年出します。

関連記事

ページトップへ戻る