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立野純二 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

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(1)ヒルビリー・エレジー(J・D・ヴァンス著、関根光宏・山田文訳、光文社・1944円)
(2)暗い時代の人々(森まゆみ著、亜紀書房・1836円)
(3)憲法改正とは何だろうか(高見勝利著、岩波新書・886円)

 貿易や環境、中東など、世界の舞台から米国の姿が薄れていく。「再び偉大な米国」との題目で進む大国の没落劇。トランプ時代の元年が暮れていく。
 意外に穏やかな1年だったとみる向きもあろうか。だが重大な変化の兆しは、日の当たらぬ人間の暮らしの中にこそ表れる。
 その現実を(1)で知らされる。トランプ政権を生む一因となった米内陸部の病んだ社会を描く、ある白人男性の自伝。治世の過ちと人心の荒廃が進む米国自身が「失敗国家」だった。
 戦前の日本でも、破局の足音は静かに忍び寄った。国難を叫ぶ政治に沈黙した時代の中で、自由を求めた人々の気高さを(2)で思う。
 今なぜ憲法改正か。戦後日本の歯車を戻すかのような憲法観を(3)に考える。(本社論説主幹代理)
    ◇
 新聞作りの日々の中、書評委員の情熱に接すると、活字の力はいまだ健在と思えます。来年もよろしくお願いします。

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