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市田隆 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)名誉と恍惚(松浦寿輝著、新潮社・5400円)
(2)虎の牙(武川佑著、講談社・1944円)
(3)ヒトラーの裁判官フライスラー(ヘルムート・オルトナー著、須藤正美訳、白水社・3672円)

 (1)は、日中戦争時の上海で巧妙な陰謀に巻き込まれ、逃亡者となった日本人警官をめぐる物語。純文学作品として既に高い評価を得ているが、エンターテインメントとしても出色の出来栄え。幅広い読者に手にとってもらいたい小説だ。
 (2)は、武田信玄の父・信虎が、謎めいた生い立ちをもつ弟の勝沼信友らと戦国の世を駆ける時代小説。史実に自由奔放な想像力を交えた作品世界、躍動する文体は魅力にあふれ、デビュー作品とは思えないほど高いレベルにある。
 (3)は、ナチス・ドイツで悪名高い人民法廷長官の評伝であるとともに、過去の行いに何の反省もない多くの法律家たちの姿を描いたノンフィクション。歴史から学ぶ大切さを再認識させてくれた。(本社編集委員)
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 記者の仕事を始めて約30年になります。いまだに取材先への夜回り生活から抜けられず、冬場は体にこたえます

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