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諸富徹 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2017年12月24日

表紙画像

(1)最後の資本主義(ロバート・B・ライシュ著、雨宮寛・今井章子訳、東洋経済新報社・2376円)
(2)ダーティ・シークレット(リチャード・マーフィー著、鬼澤忍訳、岩波書店・1620円)
(3)人口減少時代の土地問題(吉原祥子著、中公新書・821円)

 (1)は、米国資本主義を知悉(ちしつ)する著者が、富裕層に有利に働き、中小企業・貧困層・消費者を弱体化させる、市場ルールの見直しを訴えた問題提起の書。だが、現実の米国政治は逆走する。最近、米国議会で可決されたばかりの税制改革法案は、米国の成長に寄与せず、格差を拡大させ、財政赤字を膨らませる代物だ。著者の憂いは深まるばかりであろう。(2)は、多国籍企業による秘密保持とタックス・ヘイブンの密接な関係を明らかにし、情報公開こそがその弊害と闘う最も有効な武器となりうることを明確にした好著。(3)は、土地の「所有者不明化」が、人口減少に直面する日本にとって大きな社会問題となることを世に知らしめた。「所有」から「利用」への重点シフトが問題解決の鍵となるか。(京都大学教授)
    ◇
 久しぶりに単著『人口減少時代の都市―成熟型のまちづくりへ』(中公新書)を来年2月末に刊行させて頂く予定です

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