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学校では教えてくれない差別と排除の話 [著]安田浩一

[評者]野矢茂樹(東大教授)

[掲載]2018年01月07日

[ジャンル]社会

表紙画像

 私は差別を身をもって実感したことがない。だが、そのことは私が差別と無縁であることを意味してはいない。差別の存在する社会に生きている以上、否も応もなく差別に巻き込まれている。そんな私に必要なのは、説教じみた道徳ではなく、私たちの社会の差別に関する基本的な知識だ。
 本書は、著者自身のいじめられた経験、いじめた経験から始まり、外国人労働者の問題、在日韓国・朝鮮人への差別、ヘイトスピーチ、そして米軍基地を押しつけられている沖縄の問題を語り出していく。著者、安田さんはけっして声高に糾弾したりはしない。しかしそこには確かに静かな情熱が溢(あふ)れている。
 差別について知ること。そして差別ということについて想像力をもつこと。私は——あまりにも差別について無知であった私は——本書に多くを教えてもらった。自分は差別と関係ないと思っている人、むしろそのような人たちにこそ、読んでほしい。


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