阿刀田高(作家)の書評

写真:阿刀田高さん

阿刀田高 (作家)
1935年東京都生まれ。作家。前日本ペンクラブ会長。国立国会図書館在勤中から著述活動を始める。著書に『冷蔵庫より愛をこめて』『来訪者』(日本推理作家協会賞)『ナポレオン狂』(直木賞)『新トロイア物語』(吉川英治文学賞)『獅子王アレクサンドロス』『プルタークの物語』など。直木賞選考委員。

ボート [著]ナム・リー

ボート [著]ナム・リー

■核心は読者に委ね、読みごたえ  著者はベトナム生まれ、戦後の混乱を逃れ、ボートピープルとしてマレーシアへ、ついでオーストラリア・メルボルンに渡ってそこで育った。さらにアメリカのアイオワ大学で小説の執筆を学んでデビュー………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2010年03月28日
[ジャンル]文芸

誰かがそれを [著]佐伯一麦

誰かがそれを [著]佐伯一麦

■見る目の確かさ、筆致の巧みさ  久しぶりに編まれたこの作家の短編集である。八編が収められているが初出の文芸誌にはばらつきがあるし、執筆の時期にも距(へだ)たりがある。読み通して著者の感性と精緻(せいち)な文章が私には………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2010年03月14日
[ジャンル]文芸

白い城 [著]オルハン・パムク

白い城 [著]オルハン・パムク

■絡みあう二つの人格、私とは?  トルコの現代小説を読んだことがなかった。オルハン・パムクはイスタンブール生まれの人気作家で、2006年にはノーベル文学賞を受けている。  ——エンターテインメントの気配もある、と聞いた………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2010年02月14日
[ジャンル]文芸

狙われたキツネ [著]ヘルタ・ミュラー

狙われたキツネ [著]ヘルタ・ミュラー

■過酷な密告社会の日常を詩的に  ヘルタ・ミュラーはルーマニア生まれの女性作家、2009年のノーベル文学賞の受賞者である。本書はその代表作の一つと見てよいだろう。  ルーマニアはかつてソ連の影響下にあってもっとも厳しい………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2010年01月24日
[ジャンル]歴史 文芸

親子三代、犬一匹 [著]藤野千夜 

親子三代、犬一匹 [著]藤野千夜 

■おだやかな清涼感を楽しむ  小説を読むとき、書くとき、私はテーマとモチーフとを考える。テーマは歴(れっき)とした文芸用語だろうがモチーフは我流の言葉遣いかもしれない。テーマは文字通り題材だが、モチーフは、そのテーマを………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年12月20日
[ジャンル]文芸

ボリス・ヴィアン伝 [著]フィリップ・ボッジオ 

ボリス・ヴィアン伝 [著]フィリップ・ボッジオ 

■短くも多彩な生涯を詳しく  このほどフランスの文芸出版の雄ガリマール社がその古典叢書(そうしょ)にボリス・ヴィアン(1920〜59)の作品を加えるとか。一流作家の証しである。  生前はポルノグラフィーもどきのハードボ………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年11月29日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

手妻のはなし-失われた日本の奇術 [著]藤山新太郎 

手妻のはなし-失われた日本の奇術 [著]藤山新太郎 

■西洋とは異なる独自の技芸  本を開くと、前口上として“手妻とは日本人が考え、独自に完成させたマジックの事だ”とあり、さらに“幕末に日本にやって来た欧米人が手妻を見て、その技術の高さに驚嘆した”と記しているが、本書はこ………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年11月08日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

神々の捏造-イエスの弟をめぐる「世紀の事件」 [著]ニナ・バーリー

神々の捏造-イエスの弟をめぐる「世紀の事件」 [著]ニナ・バーリー

■「ヤコブの骨箱」があぶり出すもの  イエス・キリストの兄弟にヤコブがいて、イエスの死後、使徒たちの中にあって十分に有力な地位を占めていたらしいことは新約聖書の記述から推定されている。  そのヤコブの骨箱が発見され20………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年10月18日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

デンデラ [著]佐藤友哉

デンデラ [著]佐藤友哉

■老婆たち獅子奮迅、闘いの果ては  冒頭に登場人物の一覧表がある。総勢50人。年齢が記されていて、70から100まで。これを見ただけで、  ——すごいぞ——  尋常ではない内容を想像してしまう。  その通り、尋常ではな………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年09月13日
[ジャンル]文芸

狼疾正伝―中島敦の文学と生涯 [著]川村湊 

狼疾正伝―中島敦の文学と生涯 [著]川村湊 

■存在への執着と疑いに発する文学  生誕100年、早世した中島敦についての入念な評伝である。作家研究として深い。  残された作品の多い作家ではない。ある時期まではそう高い評価を受けた作家ではなかった。しかし、そのユニー………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年08月30日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録 [著]辻井喬

叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録 [著]辻井喬

■登場人物華やかに、文人経営者の屈折  辻井喬が文人として一家をなしていることは紛れもない事実である。そして堤清二が、剛腕の政治家・堤康次郎の息子であり、セゾングループなどを育てあげた有力な経営者であったこともよく知ら………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年07月26日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

菊池寛急逝の夜 [著]菊池夏樹

菊池寛急逝の夜 [著]菊池夏樹

■親族だけが知る「特別な人物」の像  海のように茫漠(ぼうばく)として大きい菊池寛について(その実、入念で合理的な性格をもあわせ持っていたのだが)本書は直系の孫が綴(つづ)った記録である。  肉親を一冊の書として記すの………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年06月21日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ラストラン [著]志水辰夫

ラストラン [著]志水辰夫

■次は何?多彩な趣向の短編集  短編小説集には独特な味わいがある。つれづれの読書にふさわしい。一つを読み終え、次は  ——どんな趣向かな——  多彩であることが望ましい。 『ラストラン』には10の作品が収められているが………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年05月24日
[ジャンル]文芸

ウェルギリウス『アエネーイス』―神話が語るヨーロッパ世界の原点 [著]小川正廣

ウェルギリウス『アエネーイス』―神話が語るヨーロッパ世界の原点 [著]小川正廣

■現代的意味の理解みずみずしく  本書の原典『アエネーイス』は、内容の多彩さ、文学史的意味の深さのわりには知名度が低い古典ではあるまいか。  テーマはホメロスが吟じて名高い『イリアス』の後日談、作者は古代ローマきっての………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年04月19日
[ジャンル]歴史 文芸

院長の恋 [著]佐藤愛子 

院長の恋 [著]佐藤愛子 

■手だれの筆で人生描く快い短編集  50代、60代の主婦層には小説のファンが多い。広く接してみると、とても熱心に読んでいる。好みは男性や若い人とは異なるが、彼女たちは経済性に富んでいるから、  「本? 買うのは厭(いや………[もっと読む]

[評者]阿刀田高(作家)
[掲載]2009年03月15日
[ジャンル]文芸

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