奥泉光(作家)の書評

写真:奥泉光さん

奥泉光 (作家)
1956年山形県生まれ。作家、近畿大学教授。著書に『滝』『ノヴァーリスの引用』(野間文芸新人賞)『「吾輩は猫である」殺人事件』『石の来歴』(芥川賞)『グランド・ミステリー』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『神器』(野間文芸賞)『シューマンの指』など。

出会い [著]ミラン・クンデラ

出会い [著]ミラン・クンデラ

■母国語の外から新世界を眺める  旧チェコスロバキア出身で、のちにフランスに亡命したミラン・クンデラは、『不滅』などの傑作を書き、世界中に読者を持つ作家であるが、芸術評論についても定評がある。本書は二〇〇九年、クンデラ………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2012年03月18日
[ジャンル]文芸

遅い男 [著]J・M・クッツェー

遅い男 [著]J・M・クッツェー

■小説に生命を与える脈動とは  すぐれた小説には独特の脈動がある。読者はこの脈動に同調することで活気や元気を与えられる。それはストーリーが暗い明るいといったこととは直接の関係はない。どれほど陰惨で救いのない物語であって………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2012年02月19日
[ジャンル]文芸

比較のエートス 冷戦の終焉以後のマックス・ウェーバー [著]野口雅弘

比較のエートス 冷戦の終焉以後のマックス・ウェーバー [著]野口雅弘

■専門の砦から「現実」の戦場へ  M・ウェーバーの遺(のこ)した仕事が、規模の点でも濃度の点でも、読む者を圧倒する凄(すご)みを備えていることは、その理論構築に対し否定的な見解を抱く者を含め、認めぬわけにいかぬだろう。………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2012年01月15日
[ジャンル]経済 社会 国際

見仏記 ぶらり旅篇 [著]いとうせいこう、みうらじゅん

見仏記 ぶらり旅篇 [著]いとうせいこう、みうらじゅん

■森羅万象を観賞する遊び心  日本国内はもちろんアジア各地にまで足を伸ばして仏像を鑑賞して回っては、いとうせいこうが文章を、みうらじゅんがイラストを描く「見仏記」の第一弾が出てから二十年、昨今の仏像ブームの火付け役であ………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年12月18日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

これはペンです [著]円城塔

これはペンです [著]円城塔

■小説の可能性を広げる煌めき  小説は様々な主題を軸にして書かれる。それは恋愛であったり、暴力であったり、人生の夢や挫折であったりする。だが、多くの優れた小説が、それら多様な主題の裏側にもう一つの主題を隠し持っている。………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年11月06日
[ジャンル]文芸

ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第3集 [著]宮沢章夫

ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第3集 [著]宮沢章夫

■日常という怪物の気配、濃密に  小説の冒頭には2001年9月1日と日付が明記される。これは44人の死者を出した新宿歌舞伎町の雑居ビルの火災があった日であり、小説の最後は同年9月11日の日付が記されるが、これはいうまで………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年10月30日
[ジャンル]文芸

不可能 [著]松浦寿輝

不可能 [著]松浦寿輝

■三島由紀夫がもし生き延びたら  一九七〇年、自衛隊市ケ谷駐屯地で割腹した三島由紀夫がもし死なずに生き延びてたら。というのが本作の主軸となるアイデアである。主人公の平岡(三島の本名)は二七年の服役を経て出所し、八〇歳を………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年08月28日
[ジャンル]文芸

私のいない高校 [著]青木淳悟

私のいない高校 [著]青木淳悟

 私たちは誰もが一個の秩序ある宇宙(コスモス)に棲(す)んでいる。私たちはこの宇宙のなかで喜び悲しみ、希望を抱き、ときに挫折しながら自己の生の意味を実感する。もし宇宙が失われたら、私たちは混沌(こんとん)の無明に裸で投げ………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年07月31日
[ジャンル]文芸

即興の解体/懐胎―演奏と演劇のアポリア [著]佐々木敦

即興の解体/懐胎―演奏と演劇のアポリア [著]佐々木敦

■表現は「反復」か、探求誘う即興論  即興演奏というと、新しい何かが次々産出されていくイメージがあるけれど、実際には既に知られたイディオムが繰り出されていくにすぎないのが普通である。一方で、今まで誰にも知られず、また予………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年06月26日
[ジャンル]人文

マイルス・デイヴィス『アガルタ』『パンゲア』の真実 [著]中山康樹

マイルス・デイヴィス『アガルタ』『パンゲア』の真実 [著]中山康樹

■20世紀アートの興奮と魂の震え  1991年に65歳で死んだジャズ界の帝王マイルス・デイヴィスが、シェーンベルクやビートルズと並ぶ20世紀音楽の中心人物であったことに反対する人はあるまい。『アガルタ』と『パンゲア』は………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年05月08日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

チボの狂宴 [著]マリオ・バルガス=リョサ

チボの狂宴 [著]マリオ・バルガス=リョサ

■「かたり」の自在性で時代描く長編  物語に関わる表現のジャンルはさまざまあるけれど、なかで小説が持つ一番の強みは「かたり」の自在性にあるだろう。小説的「かたり」は目には見えぬ他人の内面に自由に入り込んでいくと同時に、………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年04月10日
[ジャンル]文芸

ドストエフスキー [著]山城むつみ

ドストエフスキー [著]山城むつみ

■人間と言葉の関係、根本から問い直す  ドストエフスキーの小説を読むと、他の小説を読むときとは何か根本的に違うことをしていると感じられる。格段に面白いとか、個性的であるといったことではすまされない質の違いがあるように思………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2011年01月23日
[ジャンル]文芸

20世紀を語る音楽 1・2 [著]アレックス・ロス 

20世紀を語る音楽 1・2 [著]アレックス・ロス 

■時代の熱と鼓動伝える壮大な物語  いわゆる西洋クラシック音楽の世界で「現代音楽」というと、調性から脱した新ウィーン楽派以降の音楽をなんとなくそう呼んできたわけだが、しかし、それは百年も前の話なのであって、いくらなんで………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2010年12月12日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

バウドリーノ 上・下 [著]ウンベルト・エーコ

バウドリーノ 上・下 [著]ウンベルト・エーコ

■驚異の旅の物語、虚構が魂に響く  小説に描かれる世界や問題は多種多様であるけれど、個々の作品の枠を超えてジャンルが密(ひそ)かに持ち続けている主題が一つある。それは虚構の現実性、ないし現実の虚構性の主題である。虚構と………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2010年11月14日
[ジャンル]歴史 文芸

江戸の気分 [著]堀井憲一郎 

江戸の気分 [著]堀井憲一郎 

■暮らしのにおい、落語通して  江戸時代の社会史を扱った書物は多くある。落語を論じた本もたくさんある。が、落語を通じて江戸時代人の暮らしの姿を浮かびあがらせようとする本書の試みはユニークだ。もっとも落語という芸能が成立………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2010年10月10日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能 新書

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る