横尾忠則(美術家)の書評

写真:横尾忠則さん

横尾忠則 (美術家)
よこお・ただのり。1936年兵庫県生まれ。60年代からグラフィックデザイナーとして活躍、80年に画家に転向。画集に『赤の魔笛』『横尾忠則Y字路』『人工庭園』、随想や絵画論に『インドへ』『名画感応術』、対談集に『芸術ウソつかない』、小説に『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)など。

お寺はじめました [著]渡邊源昇

お寺はじめました [著]渡邊源昇

■一から布教「好きでやってます」  「お寺はじめました」と一言で片付けてしまうほど簡単な話ではないのです。  15歳で同級生の住職の父親に「お坊さんにならないか」と声を掛けられて「なります」と即答。住職が「楽しそう」に………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年04月14日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

津波の霊たち―3・11 死と生の物語 [著]リチャード・ロイド・パリー

津波の霊たち―3・11 死と生の物語 [著]リチャード・ロイド・パリー

■指が止まる現代の「死者の書」  千聖(ちさと)ちゃんが夜中に突然「学校がなくなった!」「大きな地震が来る」と泣きわめいた。あの3月11日の震災前のある夜のことだった。地震が起きるその朝、千聖ちゃんは不機嫌なまま元気が………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年03月11日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

ハックルベリー・フィンの冒けん [著]マーク・トウェイン

ハックルベリー・フィンの冒けん [著]マーク・トウェイン

■ヤバイ少年魂、老年期にこそ  133年前の名作がなぜ書評に? 驚きますよね。頁(ページ)を開くと漢字は数えるほど。平仮名と片仮名ずくめ。題名も「冒険」ではなく「冒けん」。児童本? 「NO!」。従来の翻訳は「何が語られ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年02月18日
[ジャンル]文芸

運慶のまなざし―宗教彫刻のかたちと霊性 [著]金子啓明

運慶のまなざし―宗教彫刻のかたちと霊性 [著]金子啓明

■創造行為と精神の交配が開く道  夏目漱石の『夢十夜』の中で、仁王像を公衆の面前で彫る運慶の姿を漱石は夢で見た。夢の中の見物人の一人が仁王は木の中に埋まっていると言う。そんな立ち話を聞いた漱石は「彫刻とはそんなものか」………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]文芸

いのち [著]瀬戸内寂聴

いのち [著]瀬戸内寂聴

■けばけばしい業の美意識よ!  「元気という病気」を自認していた著者がたて続けに大病に見舞われ、度重なる入院生活から無事帰還したその日から本書『いのち』が始まる。  自我(文学)と悟性(宗教)の境界を分ける二河白道(に………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

煉獄と地獄―ヨーロッパ中世文学と一般信徒の死生観 [著]松田隆美

煉獄と地獄―ヨーロッパ中世文学と一般信徒の死生観 [著]松田隆美

■死者の運命を決める待合場所  人は死後、どこへ行くのか、どこだっていいじゃないか、死んだら無さ、いいえ、霊魂になって天国か地獄のどちらかじゃないの?  中世ヨーロッパ文学で、死後の実相が詳細に描かれた『トゥヌクダルス………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年01月14日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

鳥獣戯画 [著]磯崎憲一郎

鳥獣戯画 [著]磯崎憲一郎

■絵の具の質感もつ言葉の導き  (イ)(=磯崎)作品はすべて未完だと横尾さん言うけど、僕の小説も未完の連続です。(ヨ)(=横尾)登場人物が突然消えて二度と現れない。(イ)飽きないように飽きないように書いてます。(ヨ)そ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

田舎暮らしと哲学 [著]木原武一

田舎暮らしと哲学 [著]木原武一

■野良仕事と工作の日々に学ぶ  田舎で子供を育てたいという想(おも)いから千葉の外房に家を建てて一家3人が移住した。雨水でご飯を炊くような水の不自由な土地で過酷な自然を相手に一歩も引かずに来れたのは楽天一家の希望があっ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年12月03日
[ジャンル]社会

ゴッホの耳―天才画家 最大の謎 [著]バーナデット・マーフィー

ゴッホの耳―天才画家 最大の謎 [著]バーナデット・マーフィー

■素人探偵の異常な骨折り損?  時間を持て余しているひとりの退屈な暇人が、たまたまゴッホが住んでいたアルルに近い土地の住人であるという理由だけで、ゴッホの絵をあまり見たことも関心もないというのに、あの有名なゴッホの耳切………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年11月19日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

高倉健―七つの顔を隠し続けた男 [著]森功

高倉健―七つの顔を隠し続けた男 [著]森功

■虚像と実像が刺し違える危うさ  「健さん」の愛称で親しまれた高倉健が逝って3回目の命日(11月10日)が5日後にやってくる。  1960年代の東映任侠(にんきょう)映画の「日本侠客伝」第一作から遺作「あなたへ」までの………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

ゴースト [著]中島京子

ゴースト [著]中島京子

■今もひっそり、「そこ」にいる  文豪の怪談小説は別として現代小説のこの手の本は初めてです。怪談の醍醐味(だいごみ)はジトッと濡(ぬ)れてジワーッと足音もなくひたひたと近づくあの見えない恐怖です。死者が生きていることの………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]文芸

都市と野生の思考 [著]鷲田清一、山極寿一

都市と野生の思考 [著]鷲田清一、山極寿一

■「おもろい」二人のデスマッチ  中学時代のアイドル●(●はハート)江戸川乱歩『怪人二十面相』と南洋一郎『密林の王者』が現在のワシを作った。都心の焼け跡に建つお屋敷の地下室とアフリカの密林の奥の洞窟はワシの中で都市と野………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]社会

コンプレックス文化論 [著]武田砂鉄

コンプレックス文化論 [著]武田砂鉄

■運命とみるか?けっとばすか?  コンプレックスはコレステロールみたいになくても困る、多くても困る程度のまあ生活必需品だと思えばいいのです。皆、コンプレックスを抱えて社会の土石流の中を渡ってきて、気がついたら向こう岸に………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]社会

裕次郎 [著]本村凌二

裕次郎 [著]本村凌二

■ヒーローと出会った。時代も僕も  ♪俺(おい)らはドラマー やくざなドラマー 俺らが叩(たた)けば 嵐を呼ぶぜ——♪  裕次郎ともろ同世代の僕は彼の歌は全部歌える。慎太郎刈りとボートネックにヨットシューズ。しかめっ面………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年09月10日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

宿題の絵日記帳 [著]今井信吾

宿題の絵日記帳 [著]今井信吾

■娘が獲得していく言葉は宝物  生まれつき耳の障害のある子供の2歳から6歳までの4年間、聾(ろう)話学校で子供と先生が会話をするための補助として、父親が描きつづけた子供の生活絵日記が本書。  主人公は麗(うらら)ちゃん………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年08月27日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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