荒俣宏(作家)の書評

写真:荒俣宏さん

荒俣宏 (作家)
1947年東京都生まれ。博物学者、翻訳家。著書に『帝都物語』(日本SF大賞)『世界大博物図鑑』(第2巻「魚類」サントリー学芸賞)『日本妖怪巡礼団』『白樺記』『セクシーガールの起源』『アラマタ図像館』『江戸の醍醐味』、訳書にラヴクラフト『ク・リトル・リトル神話集』など。

熊野・新宮の「大逆事件」前後——大石誠之助の言論とその周辺 [著]辻本雄一

熊野・新宮の「大逆事件」前後——大石誠之助の言論とその周辺 [著]辻本雄一

■木の国に新思想の奇人が結集  和歌山県は、木の国である。近代まで森林の恩恵で経済と文化を繁栄させてきた地域だが、その森林がいま急激に荒廃しつつある。原因の一つは、南方熊楠が体を張って阻止しようとした放埒(ほうらつ)な………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2014年03月30日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

生命の哲学 知の巨人フェヒナーの数奇なる生涯 [著]岩渕輝

生命の哲学 知の巨人フェヒナーの数奇なる生涯 [著]岩渕輝

■「光の世界」求め唯物論と激闘  19世紀の「知の巨人」フェヒナーは、科学、哲学、美学を「光の世界観」という概念で統合しようとした。だが、その領域が広すぎて、死後の生存から「植物の内面生活」までに及んだため、宗教やオカ………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2014年03月09日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

種痘伝来―日本の〈開国〉と知の国際ネットワーク [著]アン・ジャネッタ

種痘伝来―日本の〈開国〉と知の国際ネットワーク [著]アン・ジャネッタ

■日蘭交流で瞬く間に受け入れ  江戸の蘭方(らんぽう)医がジェンナー式種痘を導入するまでのドラマを、海外からの視点で検証していく点に鮮度が感じられる一冊。牛の病とされた「牛痘(ぎゅうとう)」が、乳牛飼育に使役される男女………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2014年03月02日
[ジャンル]人文

天皇と葬儀―日本人の死生観 [著]井上亮

天皇と葬儀―日本人の死生観 [著]井上亮

■古代から「極力質素に」望む  天皇・皇后両陛下の意向により従来の天皇葬儀を見直し、土葬を火葬に改めるという報道が、昨年流れた。「国民生活に影響を与えぬため」という理由を含めて大改革と受け取れそうだが、じつは古代から天………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2014年02月16日
[ジャンル]歴史

ヴェルヌの『八十日間世界一周』に挑む [著]マシュー・グッドマン

ヴェルヌの『八十日間世界一周』に挑む [著]マシュー・グッドマン

■対照的な女性記者2人が競う  1889年の11月、ヴェルヌ『八十日間世界一周』に書かれた架空の「早回り記録」を破るべく、アメリカから2人の女性記者が同時に旅立った。  そもそもアメリカの出版メディア2社が画策した「賭………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2014年01月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

浸透する教養―江戸の出版文化という回路 [編]鈴木健一

浸透する教養―江戸の出版文化という回路 [編]鈴木健一

■庶民も図像で読みこなす  日本人は難しい話を図像化して理解する、と幕末期に長崎医学伝習所で医学を教えたオランダ海軍軍医ポンペも驚いていた。神道家平田篤胤には2歳の門弟までいたが、絵図を上手に使い分かりやすく古学を教え………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2014年01月19日
[ジャンル]人文

脳病院をめぐる人びと 帝都・東京の精神病理を探索する [著]近藤祐

脳病院をめぐる人びと 帝都・東京の精神病理を探索する [著]近藤祐

■別角度の文学史が見えてくる  日本近代の精神科病院は、公立施設に限定するならば、都市の美観と治安を守るために路上生活者を一掃する政策から誕生した。明治5年にロシア皇太子が訪日するのに合わせ、困窮者や病者を収容すべく設………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年12月22日
[ジャンル]科学・生物 医学・福祉

カミキリ学のすすめ [編著]新里達也

カミキリ学のすすめ [編著]新里達也

■野性味たっぷりの「虫屋」讃歌  筋金入りのカミキリムシ好きが集まって書き上げた「カミキリ屋」讃歌(さんか)である。  昆虫採集といえば生物趣味界でも専業化がたいへんに進んだ濃密な分野であり、ある古書店主によれば古い博………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年11月24日
[ジャンル]科学・生物

民謡の発見と〈ドイツ〉の変貌―十八世紀 [著]吉田寛

民謡の発見と〈ドイツ〉の変貌―十八世紀 [著]吉田寛

■「野生の歌」国民精神の基盤に  一見すると難解な「ドイツ音楽論」風だが、じつはその改革が音楽の専門筋からでなく哲学・文学からの幅広い運動に負っていた事情を解き明かす刺激的な本だ。  近代的な国家・国民意識が最後まで確………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年11月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

島田清次郎―誰にも愛されなかった男 [著]風野春樹

島田清次郎―誰にも愛されなかった男 [著]風野春樹

■「天才」は入院後も書き続けた  大正時代は、スケールが大きすぎ話も赤裸々にすぎて胡散(うさん)くさく思われてしまう「天才」が多数輩出した、ある種の文化的黄金時代だったらしい。精神病院から詔勅を発した芦原将軍しかり。ロ………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年10月27日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ポラロイド伝説―無謀なほどの独創性で世界を魅了する [著]クリストファー・ボナノス

ポラロイド伝説―無謀なほどの独創性で世界を魅了する [著]クリストファー・ボナノス

■超天才が生んだ発明群の顛末  アップル社のスティーブ・ジョブズが深い尊敬のあまり、アメリカの「国宝」とまで呼んだ科学者兼企業家、あの「ポラロイド・カメラ」を発明したエドウィン・ランドの伝記。営業販売よりも研究開発に精………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年10月20日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

日本のタコ学 [編著]奥谷喬司

日本のタコ学 [編著]奥谷喬司

■「頭」か「腹」か、から「心」まで  ここ20年で大飛躍をとげた日本の「タコ学」。その成果を集めた論文集となれば一読せずにいられない。たとえば「タコの体」は、どこが頭でどこが背中なのか? 最新の理解によれば、一般に坊主………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年08月11日
[ジャンル]科学・生物

羽―進化が生みだした自然の奇跡 [著]ソーア・ハンソン

羽―進化が生みだした自然の奇跡 [著]ソーア・ハンソン

■謎だらけ、W杯より熾烈な論戦  鳥はなぜ飛ぶのか。この問いから出発した人間は飛行機を発明した。同様にして、鳥がどのようにして羽と翼を獲得したかという問いに答えが出せたら、進化史最大の謎のひとつは解ける。だが、こちらは………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年08月04日
[ジャンル]科学・生物

深海魚ってどんな魚―驚きの形態から生態、利用 [著]尼岡邦夫

深海魚ってどんな魚―驚きの形態から生態、利用 [著]尼岡邦夫

■大人の世界観、揺さぶる図鑑  ただの子ども向け学習図鑑と思ってはいけない。これは大人も驚かす本である。  これまでの深海魚本はピンボケ写真と干物のような標本写真に失望させられたが、博物画に似せた白地の背景に実物標本が………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年07月21日
[ジャンル]科学・生物

なぜ人間は泳ぐのか?―水泳をめぐる歴史、現在、未来 [著]リン・シェール

なぜ人間は泳ぐのか?―水泳をめぐる歴史、現在、未来 [著]リン・シェール

■水と人間の驚くべき雑学百科  著者はごくふつうの女性スイマー。70歳を前にしてヨーロッパとアジアをつなぐヘレスポントス海峡6・5キロの横断泳に挑んだ。その訓練の間に聞き知った「水泳と人間の歴史」や、水泳に関する驚くべ………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年06月23日
[ジャンル]歴史

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る