高村薫(作家)の書評

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高村薫 (作家)
1953年大阪府生まれ。作家。著書に『黄金を抱いて飛べ』(日本推理サスペンス大賞)『神の火』『リヴィエラを撃て』(日本冒険小説協会大賞)『マークスの山』(直木賞)『レディー・ジョーカー』(毎日出版文化賞)『晴子情歌』『新リア王』(親鸞賞)『太陽を曳く馬』(読売文学賞)など。

不可能、不確定、不完全―「できない」を証明する数学の力 [著]ジェイムズ・D・スタイン

不可能、不確定、不完全―「できない」を証明する数学の力 [著]ジェイムズ・D・スタイン

■数学の枠広げる、難問にかける夢  「偉大な問題はえてして説明するのがわりと簡単で、解くのが難しい」と本書にあるが、実にそれゆえに、人は数学にドキドキする。たとえば、4以上の偶数は二個の素数の和である、という予想は子ど………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2011年03月20日
[ジャンル]科学・生物

脳のエシックス―脳神経倫理学入門 [著]美馬達哉

脳のエシックス―脳神経倫理学入門 [著]美馬達哉

■脳科学者から倫理への自省  久しく脳ブームだが、脳科学者の著者はこう問う。人間が自分たちの脳を読み取ることを通じて自分たちを理解できると考え始めるとはどういう事態なのか、と。はて、脳科学者自身がこうした自省的かつ根源………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2011年02月13日
[ジャンル]科学・生物

知の棘―歴史が書きかえられる時 [著]上村忠男

知の棘―歴史が書きかえられる時 [著]上村忠男

■「歴史はいかに可能か」問う  時代に歴史が満ち満ちていた六〇年代を遠く離れて、高度にシステム化された資本主義社会のいまは「歴史の暮れ方」であると著者は書く。その歴史なき時代に、歴史認識はどんなかたちで可能になるのだろ………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2011年01月09日
[ジャンル]歴史 人文

自動車と移動の社会学―オートモビリティーズ [編著]M・フェザーストン、N・スリフト、J・アーリ

自動車と移動の社会学―オートモビリティーズ [編著]M・フェザーストン、N・スリフト、J・アーリ

■人と車、「一体」となる未来図    自動車はいかに後期近代社会の生活を変えてきたか。いかに技術と産業を牽引(けんいん)してきたか。いかに化石燃料の浪費を加速し、いかに道路の渋滞や事故で都市環境を変化させてきたか。自動………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年11月21日
[ジャンル]政治 社会

ベッドルームで群論を―数学的思考の愉しみ方 [著]ブライアン・ヘイズ

ベッドルームで群論を―数学的思考の愉しみ方 [著]ブライアン・ヘイズ

■暮らしの中の数学、夜ながの友に    日常生活から宇宙まで、数に変換できるものは何でも変換して数え上げ、アルゴリズムを探し、ランダムなものさえ操り、利用する。人間は古来そういう生きものらしいが、科学雑誌の編集者である………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年10月17日
[ジャンル]科学・生物

〈動物のいのち〉と哲学 [著]C・ダイアモンド、S・カヴェルほか

〈動物のいのち〉と哲学 [著]C・ダイアモンド、S・カヴェルほか

■殺される姿、問われる人間の基盤  七〇年代に動物の権利擁護を求める過激な動物保護の思想が登場して以来、クジラやイルカの保護は世界の潮流になったが、食肉産業や実験動物の売買が消えたわけではない。菜食主義者が革靴を履き、………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年09月19日
[ジャンル]人文

進化論はなぜ哲学の問題になるのか [著]松本俊吉

進化論はなぜ哲学の問題になるのか [著]松本俊吉

■生物学で問う、実在とは何か  進化論と哲学。これが結びつく地平はさほど平易でないし、一般的でもない。魅力的でありながら、この分野の意欲的な書物を手に取るたびに、途中退却を余儀なくされてきた読者は、評者を含めて少なくな………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年08月29日
[ジャンル]人文 科学・生物

数の魔力 数秘術から量子論まで [著]ルドルフ・タシュナー

数の魔力 数秘術から量子論まで [著]ルドルフ・タシュナー

■世界を数に還元、人類知の魅力  デューラーの魔方陣。ノートルダム大聖堂の黄金比。無限に続くオイラーの音格子。うつくしい図版とともに語られるのは、数が万物の存在を象徴していたピタゴラスの時代から、0と1の2進法がバーチ………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年07月11日
[ジャンル]科学・生物

権威の概念 [著]アレクサンドル・コジェーヴ 

権威の概念 [著]アレクサンドル・コジェーヴ 

■肩の力抜いた、哲学のエッセンス  ヘーゲルの『精神現象学』で挫折し、コジェーヴの『ヘーゲル読解入門』でさらに挫折した世代に朗報。本書では、肩の力を抜いて両方の哲学のエッセンスに触れることができる。  もちろん、権威の………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年06月20日
[ジャンル]人文

長塚節「土」の世界 写生派歌人の長篇小説による明治農村百科 [著]山形洋一

長塚節「土」の世界 写生派歌人の長篇小説による明治農村百科 [著]山形洋一

■比類なき自然の描写、再評価  『土』は、島崎藤村と同じ自然主義文学の作品だが、描かれた世界が極貧の農村の四季とその生活風土であったためか、農民文学扱いされ、同時代にはあまり評価されなかった。けれども朝日新聞の連載小説………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年05月16日
[ジャンル]文芸 社会

「戦争経験」の戦後史ー語られた体験/証言/記憶 [著]成田龍一

「戦争経験」の戦後史ー語られた体験/証言/記憶 [著]成田龍一

■戦争を記憶する視座を求めて  私は近代日本がアジアを蹂躙(じゅうりん)した歴史を知っているが、それでもなお、元従軍慰安婦の人びとが日本人に向ける眼差(まなざ)しの凄(すご)さにはドキッとし、何かしら噛(か)み砕けない………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年04月18日
[ジャンル]歴史 社会 国際

清水次郎長―幕末維新と博徒の世界 [著]高橋敏 

清水次郎長―幕末維新と博徒の世界 [著]高橋敏 

■暴力装置を織り込んできた近代  いつの世も、正史に記録を残さない庶民が歴史の底辺を支え、消えてゆくのだが、幕末の博徒集団に限って言えば、ただ消えていったとは言い難い。もともと幕藩体制の隙間(すきま)を埋めるかたちで権………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年03月14日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 新書

動機の修辞学 [著]ケネス・バーク

動機の修辞学 [著]ケネス・バーク

■人間社会の姿そのものが見える  人を説得することの有用性が広く社会に意識され、そのための修辞学が言葉の技術として明確に捉(とら)えられていたアリストテレスの時代はすでに遠い。しかし今日でも、人が語る言葉はその人の生け………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年02月21日
[ジャンル]人文

親鸞と学的精神 [著]今村仁司

親鸞と学的精神 [著]今村仁司

■人知を超えた無限へ哲学的接近  一九八○年代、ポスト構造主義によって解体された形而上学(けいじじょうがく)の体系知の一部がインド哲学や仏教へ向かったのは自然な流れだったのであろう。仏教は徹底した認識論の体系をもち、そ………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年02月07日
[ジャンル]人文

防衛の務め―自衛隊の精神的拠点 [著]槇智雄

防衛の務め―自衛隊の精神的拠点 [著]槇智雄

■軍隊色をうすめ、国防を語る困難  国防とは何か。この問いは、私たち日本人にとって諸外国のようには自明でない。また、私たちは独立国にとっての国防意識を自明と捉(とら)える習慣をもたず、諸外国のようにこれを愛国心や名誉と………[もっと読む]

[評者]高村薫(作家)
[掲載]2010年01月24日
[ジャンル]政治

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