斎藤美奈子(文芸評論家)の書評

写真:斎藤美奈子さん

斎藤美奈子 (文芸評論家)
1956年新潟県生まれ。文芸評論家。編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。他に『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『モダンガール論』『文章読本さん江』(小林秀雄賞)『麗しき男性誌』『物は言いよう』『それってどうなの主義』など。

私が死んでもレシピは残る―小林カツ代伝 [著]中原一歩

私が死んでもレシピは残る―小林カツ代伝 [著]中原一歩

■「料理は科学で化学」がモットー  覚えてますか、人気番組「料理の鉄人」で小林カツ代が鉄人を破ったこと。テーマはジャガイモ。1時間で作った7品には時短レシピとして有名なカツ代流の肉じゃがも含まれていた。1994年。カツ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年04月16日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

引揚げ文学論序説―新たなポストコロニアルへ [著]朴裕河

引揚げ文学論序説―新たなポストコロニアルへ [著]朴裕河

■戦後史の再考迫る植民地の記憶  戦後の文学史に一石を投じる(と同時に戦後社会への発見に満ちた)目が覚めるような文学論である。  敗戦後、中国大陸や朝鮮半島などの「外地」から「内地」に帰還した日本人は650万人。うち3………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

旅行のモダニズム―大正昭和前期の社会文化変動 [著]赤井正二

旅行のモダニズム―大正昭和前期の社会文化変動 [著]赤井正二

■自由な精神のもと山から都市へ  仕事や生活で煮詰まったとき「あーあ、どこかに旅行がしたいなあ」と思ったりしませんか。なぜそんな風に私たちは思うのか。  この本を読むとわかります。現在のような「旅行のための旅行」が確立………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]歴史 社会

しんせかい [著]山下澄人

しんせかい [著]山下澄人

■集団生活の普遍を捉えた奇作  語り手の「ぼく」は船と車を乗り継いで【谷】にやってきた。そこは【先生】と呼ばれる人物が主宰する学校のような場所で、俳優志望と脚本家志望の若者たちが共同生活をしながら演劇を学んでいた。――………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年01月15日
[ジャンル]文芸

ミルワード先生のシェイクスピア講義 [著]ピーター・ミルワード

ミルワード先生のシェイクスピア講義 [著]ピーター・ミルワード

■一様でない悲劇のヒロインたち  2016年はシェークスピアの没後400年にあたる年だった。徳川家康の同時代人(没年がいっしょ)だというのに、なぜシェークスピアはいまも世界中の人々を魅了するのか。  本書は5人の女性を………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

夢みる教養―文系女性のための知的生き方史 [著]小平麻衣子

夢みる教養―文系女性のための知的生き方史 [著]小平麻衣子

■教養を強要し、職業は許容せず  教養って何だろう。知識があるってこと? 知性的だってこと? じゃあ就職試験の一般教養って何?  『夢みる教養』は、この謎に満ちた「教養」の変遷を女性文化とからめて論じた刺激的な文化論だ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]人文 社会

広がるミサンドリー―ポピュラーカルチャー、メディアにおける男性差別 [著]ポール・ナサンソン、キャサリン・K・ヤング

広がるミサンドリー―ポピュラーカルチャー、メディアにおける男性差別 [著]ポール・ナサンソン、キャサリン・K・ヤング

■男性は暴力的? 描き方問う  ミソジニーという言葉を聞いたことがないですか。日本語でいえば、女性嫌悪または女性蔑視。そのカウンターパートに当たる概念がミサンドリー。男性嫌悪または男性蔑視だ。  〈ミソジニーは何十年も………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年11月20日
[ジャンル]社会

少年聖女 [著]鹿島田真希

少年聖女 [著]鹿島田真希

■水か陸か、迷宮へと誘う問題作  鹿島田真希の小説は読者をたじろがせるところがある。『少年聖女』もそう。書き出しからもう謎めいている。〈水の中で起きた事件は、僕らには到底わかるまい、なにしろ僕らは陸に住んでいるのだから………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]文芸

水力発電が日本を救う―今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる [著]竹村公太郎

水力発電が日本を救う―今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる [著]竹村公太郎

■実は資源大国、有効に使おう  日本は資源の乏しい国だと、あなた、思っていませんか。しかし、日本が途方もない資源大国だったとしたら? 資源とはすなわち山と雨とダムである。  アジアモンスーン地帯の北限に位置する雨の多い………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年10月30日
[ジャンル]経済

近代日本学校制服図録 [著]難波知子

近代日本学校制服図録 [著]難波知子

■国の要請と生徒の望みが形に  『東京女子高制服図鑑』なる本がヒットしたのは1985年だった。ちょうど女子校の制服がチェック柄のスカートとブレザーにモデルチェンジする頃で、以後「制服萌(も)え」の本が続々出版されるに至………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年10月16日
[ジャンル]教育 アート・ファッション・芸能

鉱山のビッグバンド [著]小田豊二

鉱山のビッグバンド [著]小田豊二

 岐阜県飛騨市の山中に位置する神岡鉱山。イタイイタイ病の発生源だった時代もあったけど、現在はニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」が設置された場所として有名だ。  その神岡鉱山にかつて本格的な楽団があった。神岡マイ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

狩りの時代 [著]津島佑子

狩りの時代 [著]津島佑子

■差別の記憶に苦しむ二つの世代  今年2月に他界した津島佑子氏の遺作。容体が悪化して入院する直前まで書き続けていた新作が、この内容と、このテーマだったことに胸をつかれる。  物語は二つの世代の記憶を中心に展開する。  ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年09月18日
[ジャンル]社会 国際

となりのイスラム―世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代 [著]内藤正典

となりのイスラム―世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代 [著]内藤正典

■共生への知恵を示す入門書  たぶん、これまででもっともわかりやすく、実践的で、役に立つイスラムの入門書だと思う。遠くて不可解なイスラムではなく「となりのイスラム」。  世界中に15億~16億人。いまや人口の4人に1人………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年09月11日
[ジャンル]社会 国際

沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか [著]安田浩一

沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか [著]安田浩一

■基地と人権、記者は問い続ける  ジャーナリストがジャーナリストの話を聞く。取材対象は琉球新報と沖縄タイムスという沖縄の2大新聞の記者とOB約20人。  取材のキッカケは自民党「文化芸術懇話会」での作家・百田尚樹氏の発………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

三池炭鉱宮原社宅の少年 [著]農中茂徳

三池炭鉱宮原社宅の少年 [著]農中茂徳

■のどかな暮らしの先に深い意味  福岡県大牟田市宮原町二丁目。三井三池炭鉱で働く人々が住む「宮原社宅」があった場所である。  高さ2メートルほどのブロック塀に囲まれた社宅に住むのは200世帯ほど。塀の外を社宅の人々は「………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]人文 社会

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