斎藤美奈子(文芸評論家)の書評

写真:斎藤美奈子さん

斎藤美奈子 (文芸評論家)
1956年新潟県生まれ。文芸評論家。編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。他に『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『モダンガール論』『文章読本さん江』(小林秀雄賞)『麗しき男性誌』『物は言いよう』『それってどうなの主義』など。

キジムナーkids [著]上原正三

キジムナーkids [著]上原正三

■略奪と幽霊と、戦後沖縄の冒険譚  戦争が終わり、「ボク」は疎開先の熊本から沖縄に帰ってきた。故郷は変わり果てていた。——敗戦後まもない沖縄を舞台にした少年たちの物語である。  「ボク」は小学5年生。緊張すると洟(はな………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年08月27日
[ジャンル]文芸

明治乙女物語 [著]滝沢志郎/政略結婚 [著]高殿円

明治乙女物語 [著]滝沢志郎/政略結婚 [著]高殿円

■理不尽と闘った近代女性たち  夏休みも残り少なくなったけど、中学生、高校生のみなさんは何か本、読みました?   少しだけ背伸びして、日本の近代に取材した歴史小説はどうかしら。あ、歴史小説といってもね、主人公はうら若き………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]文芸

劇場 [著]又吉直樹

劇場 [著]又吉直樹

■開き直れない“無頼派”の苦闘  芥川賞を受賞した又吉直樹のデビュー作『火花』は売れない漫才コンビの片割れを語り手に「表現者の苦悩」を描いた小説だった。話題だけ先行し、作品の感想があまり聞こえてこなかったのは、主人公が………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年07月16日
[ジャンル]文芸

ハナモゲラ和歌の誘惑 [著]笹公人

ハナモゲラ和歌の誘惑 [著]笹公人

 「ひいらぎの かほりやまめて せせらぎる どぜうてふてふ くましかこりす」(山下洋輔)。お題は「山の美しさに感動して詠める」。今日に残るハナモゲラ和歌の秀歌である。  「みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれ……」(大………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年06月04日
[ジャンル]人文

成功者K [著]羽田圭介

成功者K [著]羽田圭介

■私小説の伝統に逆らう“増長”芸  17歳でデビューした羽田圭介が13年目にして芥川賞を受賞し、名前を売って『成功者K』なんて本まで書く。めざましい成長と活躍? いやいや、ここは「調子こいてんじゃないわよ」と一喝してや………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

そろそろ、部活のこれからを話しませんか-未来のための部活講義 [著]中澤篤史

そろそろ、部活のこれからを話しませんか-未来のための部活講義 [著]中澤篤史

■見過ごされてきた負の側面  中高生時代の思い出は部活だっていう人、多いですよね。しかし、よく考えると不思議。正式な教科でもない「課外」活動なのに、教育基本法や学校教育法の規定もないのに、なぜ部活動は成立してるの?  ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年04月30日
[ジャンル]教育 社会

私が死んでもレシピは残る―小林カツ代伝 [著]中原一歩

私が死んでもレシピは残る―小林カツ代伝 [著]中原一歩

■「料理は科学で化学」がモットー  覚えてますか、人気番組「料理の鉄人」で小林カツ代が鉄人を破ったこと。テーマはジャガイモ。1時間で作った7品には時短レシピとして有名なカツ代流の肉じゃがも含まれていた。1994年。カツ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年04月16日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

引揚げ文学論序説―新たなポストコロニアルへ [著]朴裕河

引揚げ文学論序説―新たなポストコロニアルへ [著]朴裕河

■戦後史の再考迫る植民地の記憶  戦後の文学史に一石を投じる(と同時に戦後社会への発見に満ちた)目が覚めるような文学論である。  敗戦後、中国大陸や朝鮮半島などの「外地」から「内地」に帰還した日本人は650万人。うち3………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

旅行のモダニズム―大正昭和前期の社会文化変動 [著]赤井正二

旅行のモダニズム―大正昭和前期の社会文化変動 [著]赤井正二

■自由な精神のもと山から都市へ  仕事や生活で煮詰まったとき「あーあ、どこかに旅行がしたいなあ」と思ったりしませんか。なぜそんな風に私たちは思うのか。  この本を読むとわかります。現在のような「旅行のための旅行」が確立………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]歴史 社会

しんせかい [著]山下澄人

しんせかい [著]山下澄人

■集団生活の普遍を捉えた奇作  語り手の「ぼく」は船と車を乗り継いで【谷】にやってきた。そこは【先生】と呼ばれる人物が主宰する学校のような場所で、俳優志望と脚本家志望の若者たちが共同生活をしながら演劇を学んでいた。――………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年01月15日
[ジャンル]文芸

ミルワード先生のシェイクスピア講義 [著]ピーター・ミルワード

ミルワード先生のシェイクスピア講義 [著]ピーター・ミルワード

■一様でない悲劇のヒロインたち  2016年はシェークスピアの没後400年にあたる年だった。徳川家康の同時代人(没年がいっしょ)だというのに、なぜシェークスピアはいまも世界中の人々を魅了するのか。  本書は5人の女性を………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

夢みる教養―文系女性のための知的生き方史 [著]小平麻衣子

夢みる教養―文系女性のための知的生き方史 [著]小平麻衣子

■教養を強要し、職業は許容せず  教養って何だろう。知識があるってこと? 知性的だってこと? じゃあ就職試験の一般教養って何?  『夢みる教養』は、この謎に満ちた「教養」の変遷を女性文化とからめて論じた刺激的な文化論だ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]人文 社会

広がるミサンドリー―ポピュラーカルチャー、メディアにおける男性差別 [著]ポール・ナサンソン、キャサリン・K・ヤング

広がるミサンドリー―ポピュラーカルチャー、メディアにおける男性差別 [著]ポール・ナサンソン、キャサリン・K・ヤング

■男性は暴力的? 描き方問う  ミソジニーという言葉を聞いたことがないですか。日本語でいえば、女性嫌悪または女性蔑視。そのカウンターパートに当たる概念がミサンドリー。男性嫌悪または男性蔑視だ。  〈ミソジニーは何十年も………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年11月20日
[ジャンル]社会

少年聖女 [著]鹿島田真希

少年聖女 [著]鹿島田真希

■水か陸か、迷宮へと誘う問題作  鹿島田真希の小説は読者をたじろがせるところがある。『少年聖女』もそう。書き出しからもう謎めいている。〈水の中で起きた事件は、僕らには到底わかるまい、なにしろ僕らは陸に住んでいるのだから………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]文芸

水力発電が日本を救う―今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる [著]竹村公太郎

水力発電が日本を救う―今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる [著]竹村公太郎

■実は資源大国、有効に使おう  日本は資源の乏しい国だと、あなた、思っていませんか。しかし、日本が途方もない資源大国だったとしたら? 資源とはすなわち山と雨とダムである。  アジアモンスーン地帯の北限に位置する雨の多い………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年10月30日
[ジャンル]経済

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る