斎藤美奈子(文芸評論家)の書評

写真:斎藤美奈子さん

斎藤美奈子 (文芸評論家)
1956年新潟県生まれ。文芸評論家。編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。他に『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『モダンガール論』『文章読本さん江』(小林秀雄賞)『麗しき男性誌』『物は言いよう』『それってどうなの主義』など。

問題だらけの女性たち [著]ジャッキー・フレミング 「女子」という呪い [著]雨宮処凛

問題だらけの女性たち [著]ジャッキー・フレミング 「女子」という呪い [著]雨宮処凛

■笑って過去に引導、現代にエール  土俵に女性を上がらせないのは伝統文化だと開き直る相撲協会。前次官のセクハラ行為をなかなか認めなかった財務省。  ムカついていた矢先に、この本を開いたら……。  〈かつて世界には女性が………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年05月05日
[ジャンル]人文

水田マリのわだかまり [著]宮崎誉子

水田マリのわだかまり [著]宮崎誉子

■工場で働くやけくそ16歳の胸中  佐多稲子『キャラメル工場から』(1928年)って知ってます? 野澤富美子『煉瓦女工』(1940年)は? どちらも主人公は10代の少女、どちらも作者自身の工場労働体験に取材した小説だっ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年04月14日
[ジャンル]文芸

九十八歳になった私 [著]橋本治/ ヲトメノイノリ [著]石田千

九十八歳になった私 [著]橋本治/ ヲトメノイノリ [著]石田千

■小説は「青春」から「玄冬」に  いえね、芥川賞を受賞した若竹千佐子センセの『おらおらでひとりいぐも』がベストセラーだっていうじゃないですか。74歳の女性のお話ですわね。あたしゃ知ってますよ。野間文芸賞と大佛次郎賞に輝………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年03月11日
[ジャンル]文芸

貧困の戦後史―貧困の「かたち」はどう変わったのか [著]岩田正美

貧困の戦後史―貧困の「かたち」はどう変わったのか [著]岩田正美

■「社会の病巣」と目をそむけるな  ちょっと反省した。日本の貧困について、私は何を見ていたのだろう、と。  もしかしてあなたも思ってません? 戦後の貧困は復興期から高度経済成長期へと進む中で減少し、バブル崩壊後に増加に………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年02月25日
[ジャンル]歴史

百年泥 [著]石井遊佳

百年泥 [著]石井遊佳

■突飛な町のカオスを濃密に実感  南インドのチェンナイには月光仮面が走り回っていた。え、ええーっ! なんちゅう突飛(とっぴ)な町や。  石井遊佳『百年泥』の中ではしかし、そのくらいの光景は珍しくもないのである。月光仮面………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年02月11日
[ジャンル]文芸

タンゴ・イン・ザ・ダーク [著]サクラ・ヒロ

タンゴ・イン・ザ・ダーク [著]サクラ・ヒロ

■地下室に隠れた妻を追って…  朝、目を覚ますと、妻がいなくなっていた。  〈しばらく地下室にいます。何かあったら電話かLINEください。K〉  天ぷらを揚げていて小さな火傷(やけど)をし、顔を見られたくないのだという………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

ジェンダー研究を継承する [編]佐藤文香・伊藤るり

ジェンダー研究を継承する [編]佐藤文香・伊藤るり

 女性学やジェンダー研究の草創期を担った21人へのインタビュー集である。  70年代のウーマンリブ体験あり、研究者を志した動機あり。〈わたくしね、リブの人たちには本当に同調してね。素敵(すてき)だと思いました〉と語るのは………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]人文 社会

吹奏楽の神様 屋比久勲を見つめて―叱らぬ先生の出会いと軌跡 [著]山崎正彦

吹奏楽の神様 屋比久勲を見つめて―叱らぬ先生の出会いと軌跡 [著]山崎正彦

 高名なジャズトランペッターが舞台上で中学生のドラマーを往復ビンタした、と報じられたのは2カ月ほど前。スポーツや音楽の場においてスパルタ教育が必要だという意見は今も根強い。が、その対極にある指導法があるとしたら?  本書………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]教育 ノンフィクション・評伝

神秘大通り(上・下) [著]ジョン・アーヴィング

神秘大通り(上・下) [著]ジョン・アーヴィング

■自由になれない、14歳の記憶  1980年代、アメリカ文学を読むのが、ちょっとオシャレだった時代がある(物語の内容がオシャレだっていうことではないんだけど)。ジョン・アーヴィングは当時の文学界のスーパースターだった。………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

キジムナーkids [著]上原正三

キジムナーkids [著]上原正三

■略奪と幽霊と、戦後沖縄の冒険譚  戦争が終わり、「ボク」は疎開先の熊本から沖縄に帰ってきた。故郷は変わり果てていた。——敗戦後まもない沖縄を舞台にした少年たちの物語である。  「ボク」は小学5年生。緊張すると洟(はな………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年08月27日
[ジャンル]文芸

明治乙女物語 [著]滝沢志郎/政略結婚 [著]高殿円

明治乙女物語 [著]滝沢志郎/政略結婚 [著]高殿円

■理不尽と闘った近代女性たち  夏休みも残り少なくなったけど、中学生、高校生のみなさんは何か本、読みました?   少しだけ背伸びして、日本の近代に取材した歴史小説はどうかしら。あ、歴史小説といってもね、主人公はうら若き………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]文芸

劇場 [著]又吉直樹

劇場 [著]又吉直樹

■開き直れない“無頼派”の苦闘  芥川賞を受賞した又吉直樹のデビュー作『火花』は売れない漫才コンビの片割れを語り手に「表現者の苦悩」を描いた小説だった。話題だけ先行し、作品の感想があまり聞こえてこなかったのは、主人公が………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年07月16日
[ジャンル]文芸

ハナモゲラ和歌の誘惑 [著]笹公人

ハナモゲラ和歌の誘惑 [著]笹公人

 「ひいらぎの かほりやまめて せせらぎる どぜうてふてふ くましかこりす」(山下洋輔)。お題は「山の美しさに感動して詠める」。今日に残るハナモゲラ和歌の秀歌である。  「みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれ……」(大………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年06月04日
[ジャンル]人文

成功者K [著]羽田圭介

成功者K [著]羽田圭介

■私小説の伝統に逆らう“増長”芸  17歳でデビューした羽田圭介が13年目にして芥川賞を受賞し、名前を売って『成功者K』なんて本まで書く。めざましい成長と活躍? いやいや、ここは「調子こいてんじゃないわよ」と一喝してや………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

そろそろ、部活のこれからを話しませんか-未来のための部活講義 [著]中澤篤史

そろそろ、部活のこれからを話しませんか-未来のための部活講義 [著]中澤篤史

■見過ごされてきた負の側面  中高生時代の思い出は部活だっていう人、多いですよね。しかし、よく考えると不思議。正式な教科でもない「課外」活動なのに、教育基本法や学校教育法の規定もないのに、なぜ部活動は成立してるの?  ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年04月30日
[ジャンル]教育 社会

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