山形浩生(評論家)の書評

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山形浩生 (評論家)
1964年東京都生まれ。翻訳家。著書に『新教養主義宣言』『要するに』、訳書にウィリアム・S・バロウズ『ソフトマシーン』、フィリップ・K・ディック『死の迷路』、ポール・クルッグマン『クルーグマン教授の経済入門』、スタンレー・ミルグラム『服従の心理』など。

インフォメーション 情報技術の人類史 [著]ジェイムズ・グリック

インフォメーション 情報技術の人類史 [著]ジェイムズ・グリック

■人間とは何か、皮肉に悲しげに  人は常に情報に支配されてきた。遺伝子に刻まれた情報がぼくたちのあり方を規定し、情報の扱いが文明の興亡をもたらす。だからこそ情報の蓄積、形式化、伝達は急激に発展し続け、情報の量も増大を続………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2013年03月31日
[ジャンル]人文

なめらかな社会とその敵 [著]鈴木健/ルールに従う [著]ジョセフ・ヒース

なめらかな社会とその敵 [著]鈴木健/ルールに従う [著]ジョセフ・ヒース

■社会を変革する遠大な思考実験  『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。だが古代人たる評者にも、その意気込みはわかる。まったく新しい通貨システム! しかもお金の意味すら変え、社会自体の変革まで射程に入………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2013年03月24日
[ジャンル]経済 IT・コンピューター 社会

アサイラム・ピース [著]アンナ・カヴァン

アサイラム・ピース [著]アンナ・カヴァン

■不条理への諦め 悲しく、淡々と  アンナ・カヴァンの作品は、しばしばカフカ的だと評される。抽象的で正体不明な人々。意味不明の裁判。強大な権力を持ち、自分を抑圧する謎めいた組織。理由すらわからない収容施設。その中で主人………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2013年03月03日
[ジャンル]文芸

ゾンビ襲来―国際政治理論で、その日に備える [著]ダニエル・ドレズナー

ゾンビ襲来―国際政治理論で、その日に備える [著]ダニエル・ドレズナー

■死霊への対処、大まじめに考察  従来の人間ゾンビ関係は、殺(や)るか殺られる(食われる)かの単調な理解を超えるものではなかった。本書は既存ゾンビ資料の徹底的な分析からくる深い知見をもとに、深みのある人間ゾンビ関係理解………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2013年01月13日
[ジャンル]社会

シビリアンの戦争 デモクラシーが攻撃的になるとき [著]三浦瑠麗

シビリアンの戦争 デモクラシーが攻撃的になるとき [著]三浦瑠麗

■文民統制に恐ろしい問いかけ  本書は、ぼくたちが慣れ親しんでいる軍や戦争に関する基本的な考え方に大きな疑問をつきつける。従来の発想では、軍人は戦争大好きだとされる。だから平和を愛する文民が彼らの活動を常に監視し、抑え………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年12月16日
[ジャンル]社会

東日本大震災と地域産業復興―I人びとの「現場」から  II立ち上がる「まち」の現場から [著]関満博

東日本大震災と地域産業復興―I人びとの「現場」から  II立ち上がる「まち」の現場から [著]関満博

■企業取材で見通す、日本全体の突破口  東北震災以来、もう2年近く。ニュースだけ見ていると、初動の遅れ、空疎な文明論を並べて増税の口実にされただけの復興会議、さらに最近判明した復興予算の流用など、特に国レベルの対応のま………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年12月09日
[ジャンル]経済 社会

電波・電影・電視 [編著]三澤真美恵・川島真・佐藤卓己

電波・電影・電視 [編著]三澤真美恵・川島真・佐藤卓己

■興奮とともに読むメディア史  テレビ、ラジオ、映画、レコードなどのメディアは、技術、政治プロパガンダ、商業など多様な思惑を受けて発展してきた。本書はその20世紀東アジア各国での動向をまとめた興味深い論文集だ。  独自………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年12月02日
[ジャンル]社会

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識 [著]田崎晴明

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識 [著]田崎晴明

■生産的な議論へ、誠実正確な解説  昨年の東電福島原発事故による放射線の影響で、このぼくを含め日本住民のほぼ全員が、恐怖と不安の中で、この一年半を送ってきた。目に見えず、なじみもない放射線を不安がるのは当然だ。だがお手………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年11月11日
[ジャンル]科学・生物

青い脂 [著]ウラジーミル・ソローキン

青い脂 [著]ウラジーミル・ソローキン

■文学の未来映す“低俗”ギャグ  昔の人は、小説のヤワなエッチ描写ごときで発禁だ裁判だと大騒ぎしたもんだが、モロ出し動画がネットでいくらでも見られる現在、もう小説ごときで、下品だエロだ低俗だと騒ぐ時代ではありませんわオ………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年10月21日
[ジャンル]文芸

ロシア宇宙開発史 気球からヴォストークまで [著]冨田信之

ロシア宇宙開発史 気球からヴォストークまで [著]冨田信之

■米とは別の技術の系譜  ロシアの宇宙技術は、テーマとしてはマニアックながら、アメリカとは別の技術的な系譜として興味深いもの。本書はその歴史を、帝政ロシア(いやそれ以前)からフルシチョフ失脚による最盛期の終わりまで、ロ………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年09月09日
[ジャンル]科学・生物

新しい刑務所のかたち 未来を切り拓くPFI刑務所の挑戦 [著]西田博

新しい刑務所のかたち 未来を切り拓くPFI刑務所の挑戦 [著]西田博

■民間の創意で「塀の中」変革  十年以上前、本書のテーマとなる、公共施設の整備運営を民間に任せるプライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)制度の海外事例を調べたことがある。単なる民間事業委託ではない。事業の自由………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年08月26日
[ジャンル]社会

昆虫食文化事典 [著]三橋淳

昆虫食文化事典 [著]三橋淳

■「虫を食う」人の営み、深く考察  前に本欄で書評の出た快著『「腹の虫」の研究』は観念としての虫の話だったが、こちらは本当に腹に入れる虫の話だ。ちなみに入門者には日本のバッタの佃煮(つくだに)かラオスのコオロギ炒めが個………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年08月12日
[ジャンル]社会

瓦が語る日本史―中世寺院から近世城郭まで  [著]山崎信二

瓦が語る日本史―中世寺院から近世城郭まで  [著]山崎信二

■マニアックに奥深く楽しい歴史   瓦なんて似たり寄ったりと思ったら大間違い。東大寺や法隆寺の修復だけ見てもいろんな地方の瓦があって、それが当時の物質流通をも物語る! さらに、製法ばかりか瓦職人がいろいろコッソリ落書き………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年07月29日
[ジャンル]歴史

円のゆくえを問い直す 実証的・歴史的にみた日本経済 [著]片岡剛士

円のゆくえを問い直す 実証的・歴史的にみた日本経済 [著]片岡剛士

■円高の害 異様な密度で考証  異様な密度の新書。企業が円高で悲鳴を上げる中、一面的な容認論も聞かれる。本書は為替レートの根本を解説、金本位制から変動為替制への推移などの歴史をたどり、購買力平価やマンデル=フレミングな………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年07月08日
[ジャンル]社会

群像としての丹下研究室 戦後日本建築・都市史のメインストリーム [著]豊川斎赫

群像としての丹下研究室 戦後日本建築・都市史のメインストリーム [著]豊川斎赫

■「構想力」支えた最強チーム活写  建築家を語る本は通常、造形デザイン話に社会文明観や哲学談議を接ぎ木する程度だ。本書はそれを遥(はる)かに超える。本書のテーマたる丹下健三が、通常を遥かに超える建築家だったせいもある。………[もっと読む]

[評者]山形浩生(評論家)
[掲載]2012年07月01日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

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