重松清(作家)の書評

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重松清 (作家)
1963年岡山県生まれ。作家。編集者、フリーライターを経て91年『ビフォア・ラン』でデビュー。他に『ナイフ』(坪田譲治文学賞)『エイジ』(山本周五郎賞)『定年ゴジラ』『ビタミンF』(直木質)『流星ワゴン』『小さき者へ』『十字架』(吉川英治文学賞)など。

奇跡の団地―阿佐ケ谷住宅 [編著]三浦展[著]大月敏雄、志岐祐一、松本真澄

奇跡の団地―阿佐ケ谷住宅 [編著]三浦展[著]大月敏雄、志岐祐一、松本真澄

■組織の「若さ」がもたらした「奇跡」  阿佐ケ谷という町は東京都杉並区にある。だが、この際、地名については忘れていただいてもかまわない。阿佐ケ谷住宅の「奇跡」の最大の所以(ゆえん)は、それが1958年に誕生したというこ………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2010年03月07日
[ジャンル]経済 社会

新・がん50人の勇気 [著]柳田邦男

新・がん50人の勇気 [著]柳田邦男

■まっすぐ向き合った姿、敬意込め  がんで亡くなった人々の、死に臨む記録である。タイトルに「新」とあるとおり、1981年刊行の『ガン50人の勇気』の続編という位置付けなのだが、前作から約30年という歳月の流れは、日本人………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2010年01月31日
[ジャンル]医学・福祉 社会

製鉄天使 [著]桜庭一樹 

製鉄天使 [著]桜庭一樹 

■レディースの疾走感、荒く切なく  なんとヤンチャな小説なのだろう。鳥取県の片田舎で結成されたレディースの暴走族・製鉄天使が中国地方を制覇し、忽然(こつぜん)と姿を消してしまう物語——というストーリーそのものの荒っぽさ………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年12月13日
[ジャンル]文芸

アジア未知動物紀行-ベトナム・奄美・アフガニスタン [著]高野秀行

アジア未知動物紀行-ベトナム・奄美・アフガニスタン [著]高野秀行

■ロマンの余白残す伸びやかな旅  猿人フイハイと妖怪ケンモンと凶獣ペシャクパラングを探す旅である。もっとも、それらの正体は不明。高野秀行さんが探しているのは、存在が現地で語り継がれてはいるもののまだ科学的に確認されては………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年11月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

フリーター、家を買う。 [著]有川浩 

フリーター、家を買う。 [著]有川浩 

■へなちょこ青年が本気になるとき  武誠治(たけせいじ)という主人公、もともとはのんきな性格である。24歳。フリーター。〈このままではまずいな、という危機感はうっすらと心のどこかにある〉ものの、〈まだまだ大丈夫。まだ本………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年11月01日
[ジャンル]文芸

巡礼 [著]橋本治 

巡礼 [著]橋本治 

■ゴミ集め続ける男の孤独と切なさ濃密に  ゴミとは、いったいどんなものを指すのか。壊れてしまったもの、使えなくなったもの、役目を果たしたあとのもの、不要になってしまったもの。分類はさまざまにできる。いずれにしても、「元………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年10月25日
[ジャンル]文芸

絞首刑 [著]青木理

絞首刑 [著]青木理

■死刑めぐる情と理、迫る重い光景  部屋の広さは15畳ほど。足元の床は約1メートル四方だけカーペットが切り取られ、周囲が赤く縁取られている。ボタンを押すと激しい音をたててその床が開き、ロープを首にかけられたまま、体が落………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年09月27日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

岸和田の血 [著]中場利一

岸和田の血 [著]中場利一

■誰かをゆるし、誰かにゆるされて  中場利一さんと岸和田は、切っても切れない間柄である。  1994年のデビュー作『岸和田少年愚連隊』以来、中場さんは岸和田を舞台にしたヤンチャな少年たちの物語をずっと描きつづけてきた。………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年08月09日
[ジャンル]文芸

「大きな約束」「続 大きな約束」 [著]椎名誠

「大きな約束」「続 大きな約束」 [著]椎名誠

■じいじいと孫の時、ふんわりと温かく  なんとも元手のかかった短編小説集である。2巻合わせて全20編、いずれも椎名誠さん自身の言葉を借りれば〈わたしの日常をそのまんま呆然(ぼうぜん)と書き綴(つづ)っているだけの「なん………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年07月12日
[ジャンル]文芸

強いられる死―自殺者三万人超の実相 [著]斎藤貴男

強いられる死―自殺者三万人超の実相 [著]斎藤貴男

■死を選んだ? 冗談ではない  自殺をすることを、僕たちはつい詩的に「自ら死を選んだ」などと言ってしまう。本書の読了後は、それがいかに無神経で、残酷で、傲慢(ごうまん)な言い方なのか、苦みとともに思い知らされる。死を選………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年06月21日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

落下傘学長奮闘記―大学法人化の現場から [著]黒木登志夫

落下傘学長奮闘記―大学法人化の現場から [著]黒木登志夫

■研究者から一転、悪戦苦闘の日々  地方の国公立大学はいったいどうなってしまうのか。本書の副題にある〈大学法人化の現場〉——その現場は、僕たちが予想/覚悟していた以上に、とんでもないありさまだった。  基礎医学の研究一………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年05月17日
[ジャンル]教育 社会 新書

炭鉱太郎がきた道―地下に眠る近代日本の記憶 [著]七尾和晃

炭鉱太郎がきた道―地下に眠る近代日本の記憶 [著]七尾和晃

■五感を駆使して記憶の細部描く  かつて炭鉱の坑内で働いた老人は、畳の上で腹ばいになったり中腰になったりして、蒸し暑い坑内での採掘作業の様子を熱心に著者に語る。炭鉱が閉山したあとの島に残った老人は、取材を終えた著者を「………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年04月26日
[ジャンル]歴史 社会 ノンフィクション・評伝

「ローリング・ストーン」インタビュー選集 [編]ヤン・S・ウェナー、ジョー・レヴィ

「ローリング・ストーン」インタビュー選集 [編]ヤン・S・ウェナー、ジョー・レヴィ

■言葉への期待、誠実さを思い知る    一九七二年、「ローリング・ストーン」誌は、ローリング・ストーンズのツアールポをトルーマン・カポーティに依頼した。ところが、カポーティはツアーには同行したものの執筆を放棄。ならば、………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年03月22日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

ポトスライムの舟 [著]津村記久子 

ポトスライムの舟 [著]津村記久子 

■小さな言葉の中に芽吹く日常の肯定  今期の芥川賞を受賞した表題作に、二万六千円という金額が出てくる。主人公ナガセが夢見る世界一周旅行の代金百六十三万円は、〈よう考えたらあたしの工場での年収とほとんどおんなじやねん〉。………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年02月22日
[ジャンル]文芸

小さな男*静かな声 [著]吉田篤弘 

小さな男*静かな声 [著]吉田篤弘 

■日々の営みへのいとおしさに満ちて  〈ところで〉と、物語の主人公の一人・小さな男は独白する。〈新聞というのは何故(なぜ)、読み終わった途端に「新聞紙」になってしまうのだろうか〉——その問いに、つい一緒になって考え込ん………[もっと読む]

[評者]重松清(作家)
[掲載]2009年02月01日
[ジャンル]文芸

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