石上英一(東京大学教授)の書評

写真:石上英一さん

石上英一 (東京大学教授)
1946年埼玉県生まれ。東京大学名誉教授、元東京大学史料編纂所所長。専門は日本古代史・古奄美諸島史。著書に『律令国家と社会構造』『日本古代史料学』『古代荘園史料の基礎的研究』(角川源義賞)、共編著に『古代文書論―正倉院文書と木簡・漆紙文書』など。

細川ガラシャ―散りぬべき時知りてこそ [著]田端泰子

細川ガラシャ―散りぬべき時知りてこそ [著]田端泰子

■女性キリシタンの信念とは何か  戦国時代の悲運の女性キリシタン、細川ガラシャ。本名、明智玉子(たまこ)(1563〜1600)の生涯を、女性史の視点、キリシタン改宗の過程と意義を通して明らかにした書である。  将軍足利………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2010年03月14日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

絶滅した日本のオオカミ―その歴史と生態学 [著]ブレット・L・ウォーカー

絶滅した日本のオオカミ―その歴史と生態学 [著]ブレット・L・ウォーカー

■「大口の真神」消した近代化問う  かつて日本列島のオオカミには二つの亜種がいた。北海道のエゾオオカミと、本州・四国・九州のニホンオオカミである。古代以来、「大口の真神」とも呼ばれ、作物を守る神、多産の象徴として尊崇さ………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2010年02月21日
[ジャンル]科学・生物

古代への道―古代を語る14 [著]直木孝次郎

古代への道―古代を語る14 [著]直木孝次郎

■憧憬では語れぬ歴史学の課題  著者は戦後の古代史研究を担った一人。シリーズ「直木孝次郎 古代を語る」全14巻は、邪馬台国、大和王権と河内王権、飛鳥、難波宮(なにわのみや)、奈良の都、神話と祭祀(さいし)、万葉集など、………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2010年01月31日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

日本の民俗学-「野」の学問の二〇〇年 [著]福田アジオ

日本の民俗学-「野」の学問の二〇〇年 [著]福田アジオ

■民衆生活と社会の在り方を探究  民俗学は村・町、家、祭り、人の一生など、民衆生活研究の学として知られる。だが、見知らぬ習俗や懐かしい光景に共感するための学として発展してきたのではない。副題「『野』の学問の二○○年」が………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年12月13日
[ジャンル]歴史 人文

江戸演劇史 上・下 [著]渡辺保 

江戸演劇史 上・下 [著]渡辺保 

■人や事件を中心に古典劇を活写  歌舞伎や文楽を生み出した時代と社会を眼前に再現してくれる大著である。例えば次の一節に惹(ひ)きつけられた。1820年、三代目坂東三津五郎は大坂興行に向かう前に江戸中村座で「上坂(じょう………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年10月18日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

振仮名の歴史 [著]今野真二 

振仮名の歴史 [著]今野真二 

■日本語の表現を豊かにする機能  振り仮名は読めない漢字のためのもの、こんな漢字は読めるぞと思う自分を反省する——本書を読み始めてすぐの感想だ。  サザンオールスターズのCDの歌詞で、「合図」には「サイン」、「瞬間」に………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年10月04日
[ジャンル]人文 新書

東照宮の近代―都市としての陽明門 [著]内田祥士

東照宮の近代―都市としての陽明門 [著]内田祥士

■統一性の欠如は多様性の証しか  栃木県・日光の東照宮を拝観し、陽明門の彫刻群を見ると、「日光を見ずして結構と言うなかれ」の文句を思う。そして、素直に美麗な姿に驚嘆する。  元和2(1616)年に薨去(こうきょ)した徳………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年08月30日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

唐代の人は漢詩をどう詠んだか―中国音韻学への誘い [著]大島正二

唐代の人は漢詩をどう詠んだか―中国音韻学への誘い [著]大島正二

■奥深い漢字世界を復元音で探る  電子辞書の普及で漢和辞典が身近になった。辞典には、日本に奈良時代以前に伝わった呉音(ごおん)、奈良・平安初期に伝わった漢音(かんおん)、宋以降に伝わった唐音(とうおん)が見える。日本の………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年08月23日
[ジャンル]歴史 文芸

仏典をよむ 死からはじまる仏教史 [著]末木文美士

仏典をよむ 死からはじまる仏教史 [著]末木文美士

■思想書として読み今をとらえる  仏典を思想書として読み直し、今という時代をとらえ直す糧とする。本書は、著者のそうした思索の実践を記している。  ブッダの死への旅路を伝えるのが「遊行(ゆぎょう)経」である。悲しむべきブ………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年07月12日
[ジャンル]人文

琵琶法師―〈異界〉を語る人びと [著]兵藤裕己

琵琶法師―〈異界〉を語る人びと [著]兵藤裕己

■平家物語のテキスト生成を担う  1185年、壇ノ浦合戦で入水した安徳天皇の死霊に呼び出されて平家物語を弾き語った琵琶法師の伝説は、ラフカディオ・ハーンの「耳なし芳一の話」により広く知られている。  盲人が琵琶を弾き芸………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年06月21日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能 新書

人と動物の日本史 全4巻 [編]西本豊弘ほか

人と動物の日本史 全4巻 [編]西本豊弘ほか

■多彩な動物観が精神を形作った  2月に沖縄県の与那国島に行った。奄美史研究から近世奄美・琉球の馬に関心をもち、与那国馬を見たかったからである。与那国馬保存会の方に牧場を案内してもらった。またヨナグニウマふれあい広場で………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年06月14日
[ジャンル]歴史

三大編纂物「国書総目録・群書類従・古事類苑」の出版文化史 [著]熊田淳美

三大編纂物「国書総目録・群書類従・古事類苑」の出版文化史 [著]熊田淳美

■大目録をなぜ民間が手がけたか  日本文化の基礎資料集編纂(へんさん)の前史は近世の『群書類従』から始まる。国学者塙保己一(はなわほきいち)(1746〜1821)が40余年かけて、江戸初期以前の文献1270点を神祇(じ………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年05月17日
[ジャンル]歴史

放浪のデニム グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界  [著]レイチェル・ルイーズ・スナイダー

放浪のデニム グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界  [著]レイチェル・ルイーズ・スナイダー

 私も若い頃から、すり切れるまではいては、ジーンズを楽しんでいる。だが1本のジーンズが、綿花栽培と綿摘み、綿繰り、綿糸紡績と染色、機織りと洗い・研磨などの加工、デザイン、縫製など多くの工程を経ていることをどれほど理解し………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年04月26日
[ジャンル]経済 アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

和本の海へ―豊饒の江戸文化 [著]中野三敏

和本の海へ―豊饒の江戸文化 [著]中野三敏

■当時の出版文化伝える希少本紹介  江戸文化なくして近現代文化は成り立たなかった。江戸文化を知るには、文芸や学問、生活や感情を伝える和本に通じることが必要と著者はいう。  江戸文化は、出版の興隆のもとに展開した。江戸期………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年04月12日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

東大寺 お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会 [著]佐藤道子

東大寺 お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会 [著]佐藤道子

■「火と水の行」観音菩薩に願い伝える  奈良・東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)は、「お水取り」とも称され、迎春の象徴となる「火と水の行」である。  修二会は、旧暦2月1日から14日間、現在は3月1日からの14日間、十一………[もっと読む]

[評者]石上英一(東京大学教授)
[掲載]2009年03月08日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

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