田中貴子(甲南大学教授)の書評

写真:田中貴子さん

田中貴子 (甲南大学教授)
1960年京都府生まれ。甲南大学教授。専門は国文学(中世文学)。著書に『〈悪女〉論(『悪女伝説の秘密』に改題)』『あやかし考―不思議の中世へ』(サントリー学芸賞)『日本ファザコン文学史』『安倍晴明の一千年』『百鬼夜行の見える都市』『検定絶対不合格教科書古文』など。

安部公房の都市 [著]苅部直

安部公房の都市 [著]苅部直

■廃墟を取り込み、変転する都市像  『安部公房の都市』。サブタイトルはない。帯には「人気政治学者が読み解く」とある。少しでも安部作品の評論を読んだことがある人なら、手に取るのをためらうかもしれない。安部作品における都市………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年03月25日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

生老病死の図像学―仏教説話画を読む [著]加須屋誠

生老病死の図像学―仏教説話画を読む [著]加須屋誠

■中世の仏教絵画を読み解く  絵は写実である——現代人の多くはそう考えがちだ。もちろん、鎌倉時代の絵を観(み)て当時の人々の風俗を知ることはできる。しかし、それが絵のすべてと思ったら大間違い。以前『ダ・ヴィンチ・コード………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年03月18日
[ジャンル]歴史 医学・福祉

わたしの小さな古本屋―倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間 [著]田中美穂

わたしの小さな古本屋―倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間 [著]田中美穂

■居場所見つけた、しなやかな強さ  実は以前から知ってはいたのです、倉敷にある蟲文庫のことは。女性古書店主ばかり13人を取材した岡崎武志『女子の古本屋』(ちくま文庫)で田中美穂さんの写真を見たときから、気になっていまし………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年03月11日
[ジャンル]文芸

痕跡本のすすめ [著]古沢和宏

痕跡本のすすめ [著]古沢和宏

■本との対話や格闘、生々しく  「函(はこ)欠、背ヤケ、本文点シミ、線引き・書込みあり」。古書店で商品に付けられたこんな注意書きを目にして、あえて購入する人は少数だろう。函がなく傷んでいるうえに、傍線や書き込みなんかが………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年03月04日
[ジャンル]人文

怪談 [著]柳広司

怪談 [著]柳広司

■八雲の名作が現代ミステリーに  紀伊国屋書店でおもしろそうな本を物色した後、私は急に空腹を覚えてすぐそばの急な坂を上がった。この辺は夜になると真っ暗になるので避けているが、まだ夕暮れには遠い。坂上のそば屋に腰を落ち着………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年02月26日
[ジャンル]歴史 文芸

地上の飯―皿めぐり航海記 [著]中村和恵

地上の飯―皿めぐり航海記 [著]中村和恵

■身体的行為としての食の歴史  飯を食って文化の違いを論ずる——そんなこと、もう誰もが書いている。海外体験を描くとき、異文化の食にいささかでも衝撃を受けない人はないからだ。辺境の飯、伝統的な飯、そして都市の最先端で生み………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年02月12日
[ジャンル]人文

オオカミの護符 [著]小倉美恵子

オオカミの護符 [著]小倉美恵子

■「土地の引力」を再発見する旅  表紙のお札に惹(ひ)かれて本書を手に取った。強そうな顎(あご)と四肢を持つ黒い獣の上に、「武蔵国」「大口真神」と記されている。この獣は、100年以上前の目撃情報を最後として、絶滅したと………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年02月05日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

肉食妻帯考―日本仏教の発生 [著]中村生雄

肉食妻帯考―日本仏教の発生 [著]中村生雄

■土着の信仰を取り入れ発展  日本の仏教は堕落している。肉を食べ、妻帯する僧など言語道断だ。そういってはばからない人に問いたい。一体「本当の仏教」などあるのか、と。どんな宗教も、伝播(でんぱ)の過程で土着の信仰を取り入………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年01月29日
[ジャンル]人文

贈与の歴史学―儀礼と経済のあいだ [著]桜井英治

贈与の歴史学―儀礼と経済のあいだ [著]桜井英治

■合理的でドライだった中世人  お歳暮の手配が終わったら年賀状を書き、出していない人から賀状が来たら慌てて返す。たとえそれが、すぐに顔を合わせる人であってもだ。もらったからにはお返ししなければならない、という意識は、現………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2012年01月15日
[ジャンル]歴史 経済 社会 新書

遺体―震災、津波の果てに [著]石井光太 

遺体―震災、津波の果てに [著]石井光太 

■死認める覚悟なくして復興なし  あの大震災から9カ月たった。政府は「復興庁」を計画し、被災地でも復興への努力が重ねられている。だが、津波に襲われた海岸部では、今でも行方不明者の遺体捜索が行われているのが現状だ。  災………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年12月18日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

万里の長城は月から見えるの? [著]武田雅哉

万里の長城は月から見えるの? [著]武田雅哉

■中国への幻想が生んだ「神話」  西暦2050年4月1日、「中国月面日報」に次のような記事が掲載された。  「1969年、米国宇宙船アポロ11号の乗組員が月面に降り立って以来、わが国をはじめとするアジア諸国は月探査を含………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年12月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

「方言コスプレ」の時代―ニセ関西弁から龍馬語まで [著]田中ゆかり

「方言コスプレ」の時代―ニセ関西弁から龍馬語まで [著]田中ゆかり

■方言は土地固有じゃおまへん  「ひったくり許しまへん」。11月20日付本紙(大阪本社版)の京都市内ニュース面に、こんな見出しが躍っていた。京都市のひったくり発生件数が全国ワースト2という記事だが、驚いたのは中身よりこ………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年11月27日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

評伝 野上彌生子―迷路を抜けて森へ [著]岩橋邦枝

評伝 野上彌生子―迷路を抜けて森へ [著]岩橋邦枝

■隠された「裏面」掘り起こす力作  実は、私の野上彌生子に対するイメージは、「戦争に協力しなかった作家」や、「社会問題を描く硬派」といった文学史的記述の域を出なかった。しかし、本書読了後、そのイメージはくるりと変わって………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年11月13日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

時間はだれも待ってくれない―21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集 [編]高野史緒

時間はだれも待ってくれない―21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集 [編]高野史緒

■現実と非現実の曖昧な境界で  チェコの首都、プラハに数日滞在した折、ある日本研究者に「東欧」ということばを漏らしたところ、すぐさまこう遮られた。「いや、私たちは中欧と呼んでいます」。ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年10月30日
[ジャンル]文芸

柿のへた―御薬園同心 水上草介 [著]梶よう子

柿のへた―御薬園同心 水上草介 [著]梶よう子

■時代小説にも草食系男子  時代小説に女性読者が急増中だと聞く。「鬼平はいいなあ」とつぶやくオジサンよりも、通勤電車で高田郁(かおる)の「みをつくし料理帖(ちょう)シリーズ」を開くOLの姿が目につくのだ。  時代小説に………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年10月16日
[ジャンル]文芸

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